「TさいSUV」というキャッチフレーズとともにTクロスが日本に上陸してから4年半を経て、大幅改良が実施された。日本にマッチした小さなボディに凝縮されたこだわりと進化のポイントを、試乗を通じてご紹介していく。(文:竹岡 圭/写真:平野 陽 MotorMagazine 2024年12月号より)

輸入車SUVシェアNo1には、ちゃんと理由があった

数値を誇るのがフォルクスワーゲンTクロスだ。23年はその座を譲ったが、次にその座についたのは兄貴分のTロックと、輸入SUVにおいてフォルクスワーゲンは絶対王者として君臨しているのである。

画像: 全長4140mmと全長はかなり短い。一方で、ホイールベースは2550mmと長く、これが後席の広さにつながっている。

全長4140mmと全長はかなり短い。一方で、ホイールベースは2550mmと長く、これが後席の広さにつながっている。

さて、そのTクロスの人気の秘密は、コンパクトなサイズ感、オーソドックスだけどポップなデザイン、手を出しやすい価格だと言われている。

確かにそのボディサイズを示す数字を眺めてみても、最近では国産車だってもう少し大きいゾ、と思うくらいのお手頃サイズ。実際、さほど道幅が広くない日本の道路事情を考えると、このくらいのサイズがいちばん取り回ししやすいのだ。そして、一般的なコンパクトカーよりもアイポイントが高いことも取り回しの良さに繋がっているに違いない。

それゆえに、チョット近所に出かける時は、ついついお気に入りの履きやすいスニーカーを選んでしまうのと同じように、自分のガレージにクルマが数台並んでいたら、間違いなくパッとTクロスのキーを手に取るだろう。

乗ると実感する、想像以上の車内の快適さと走りの良さ

さらに、車内に乗り込むと意表を突かれる。このボディサイズからは想像できないほど、室内と荷室が広いのだ。

画像: インフォテインメントシステムは「Discover Proパッケージ」をオプションで用意。

インフォテインメントシステムは「Discover Proパッケージ」をオプションで用意。

荷室は後部座席をもっとも前にスライドさせた状態で455L。60:40分割可倒式のリアシートバックを倒すと1281Lまで拡大する。一方、居住空間も、オーソドックスなSUVボディゆえにヘッドクリアランスも稼ぐことができ、実際の数値よりも広く感じられる空間が確保できるのだ。思った以上にこれ1台で何でもできてしまう性能が高いのである。

そして今回、その室内空間の質感がググッと向上したのも見逃せないポイントだ。ダッシュパッドがソフトパッドになり、ステッチの使い方も上手い。さらに8インチの液晶メーターが採用され、タブレット型のセンターディスプレイは位置が少し上に上がり、目線の移動量が少なくなるなど、見た目と使い勝手に加え、安全面にも寄与している。

安全面といえば、ACCとレーンキープなどを統合したADASシステムの「トラベルアシスト」は全グレード標準装備、またLEDマトリクスヘッドライト(iQライト)も、ベースモデルのアクティブグレード以外は標準装備されることも嬉しいポイントだ。

個人的には、ベースグレードの「アクティブ」以外には、前席ヒーターが標準装備になったことが見逃せなかったりする。髪や顔が乾燥しすぎないよう、エアコンの使いすぎ防止に役立つシートヒーターの標準装備化は、Tクロスの半分が女性ユーザーだということを、きちんと踏まえたうえでのことだという。ユーザー目線を忘れていないメーカーの姿勢が表れているようで好感が持てるのだ。

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