ライバルよりも約2秒速いラップタイムを記録!
茨城県の筑波サーキットで開催されるこのイベントは、難易度の高いコースレイアウトで知られており、出場者にとってはマシンの性能を発揮する絶好の舞台だ。ヒョンデ モーターカンパニーの高性能ブランド「N」は アイオニック(IONIQ)5 N TA(タイムアタックの略)スペックで、ドライバーは谷口信輝選手が挑んだ。
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筑波サーキットでタイムアタックに挑む、アイオニック5 N TAスペック。
谷口選手がドライブするアイオニック5 N TAスペック(以下、TAスペック)は57秒446のラップタイムを記録し、筑波サーキットにおける最速EV記録を樹立した。このタイムは競合車よりも約2秒速いもので、モーター、バッテリー、制御電子機器など、主要部品のほとんどが量産モデルと共通であるにもかかわらず達成された。
TAスペックは、車体の根本的な変更は行わず、アイオニック5 Nの量産モデルの強みを際立たせるように設計された。量産モデルの高性能PE(パワーエレクトロニクス)システムを維持している。また、ソフトウエアのチューニングによって最高出力を687psに、リアモーターの出力を37ps(27kW)向上させた。
追加の改良ポイントとしては、N アクティブサウンド+(120dB以上を出せる改良スピーカー)、新たなショックアブソーバー、リム径18インチのヨコハマ アドバン005 スリックタイヤ、そして独自のハイダウンフォース空力パッケージが特別に設計された。さらに、レカロ製のプロレーサー SPA ハンス シート、サベルト製の6点式 ハンス セーフティハーネス、パイクスピーク インターナショナル ヒルクライム(PPIHC)仕様のロールケージ、EV用消火システムなどによって安全性を高めている。
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写真右から、アイオニック5 N、アイオニック5 N TAスペック、アイオニック5 N DKエディション。
ドライブを担当した谷口選手は、以下のように語った。
「他社EVで筑波サーキットのレコードを出したことがありますが、今回のアイオニック5 N TAスペックに乗らせてもらって、これまでの記録を大きく塗り替えることができて非常に光栄です。軽量化されているとはいえ、2トンもあるクルマなので絶対的に重たいです。それでも非常によく止まり、よく曲がります。パワーがあるのに制御が素晴らしく、曲がりや立ち上がりも安定しています。非常に不安感なく攻められるクルマでした」
数々の賞を受賞している アイオニック5 Nのモータースポーツ仕様であるTAスペックは、これまでいくつも記録を出してきた。2024年のパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムでは、電動改造車部門で優勝し、新記録を達成している。
なお、イベント当日に筑波サーキットでは、ヒョンデは筑波サーキットで特別な高性能パーツパッケージを装着したショーカー「アイオニック5 N DKエディション」も展示した。これは、“ドリキン”として知られるレーシングドライバーの土屋圭市氏が監修し、ヒョンデの高性能ブランド「N」と、オートバックスセブンとのコラボレーションにより開発されたものだ。