インフレ圧力にあらがって、電動化投資の原資を有効活用
マツダは2030年までを「電動化の黎明期」と捉え、2030経営方針のもと、多様化するニーズや環境規制に柔軟に対応すべくマルチソリューションで電動化を進めている。

2025年1月に発表した新型バッテリーEV「MAZDA6e(マツダシックスイー)」。2025年夏に欧州での発売を予定している。
一方で、2022年11月に公表した2030年までの電動化投資1.5兆円という目標は、インフレの影響で投資規模の拡大が必要になることが予想されるという。そのためマツダは、電池投資などの最適化により、総額1.5兆円程度に抑制することを目指している。
そのために構築されたのが今回、発表された「ライトアセット戦略」だ。マツダはこの実行戦略に基づいて、多様な商品・電動化技術をタイムリーに開発・生産し、市場導入するにあたり、既存資産の活用度を高めることで、スモールプレーヤーとしての企業価値を向上させるという。
具体的には、電池開発分野での協業を進めることで、ここでの投資が半減できる見通し。さらに2027年に導入予定のバッテリーEVについては、協業・パートナーシップによって、従来の開発と比較し開発投資を40%、開発工数を50%低減できると見込む。

マツダでは異なる車種を一つのラインで製造する「混流生産」を行なっているが、バッテリーEVもガソリン車といっしょの一つのラインで製造を行う。
ものづくり領域では、独自の開発・生産プロセス革新である「マツダ ものづくり革新2.0」の展開がカギだ。開発領域においては、より複雑な開発に対し、既存リソース水準を維持しつつ、生産性を3倍に向上させ対応する。
生産現場においても、既存資産を活用した電動化モデルへの対応を念頭に置く。たとえば、Automatic Guided Vehicle(AGV): 無人搬送車を採用した「根の生えない生産設備」などを導入し、バッテリーEVとエンジン車を混流ラインで生産することが検討されている。
バッテリーEV専用工場新設と比べ、初期設備投資だけでなく量産準備期間も効率的に削減することが可能になるだけでなく、需要変動に対する柔軟性も確保できるという。