高速道路上でレベル3の自動運転が可能に
メルセデス・ベンツのフラッグシップ サルーン、Sクラスは初代が1972年に登場。現行型は2020年に発表(日本仕様は2021年に発売)された7代目にあたる。

メルセデス・ベンツ S450d 4マティック ロング(マヌファクトゥーア仕様)
現行型Sクラスは、ラグジュアリー セグメントにおける条件付き自動運転の新たなベンチマークとなるモデルだ。ドイツと米国の高速道路では、特定の条件下で「ドライブパイロット」による自動運転が可能だ。
これまでは、渋滞時の60km/hまでの走行に限られていた。だが新しいドライブパイロットはドイツのアウトバーンで右側の走行車線を走行する先行車に追従し、通常の交通の流れの中で最高95km/hで自動運転できる。
これにより、ドライバーは条件付き自動運転モードでより頻繁に、より長時間の運転が可能となり、道路上での時間をより有効に活用することができる。ドライブパイロットが有効な場合、ドライバーはSクラスが条件付き自動運転を行う間、車内で映画を見たり、新聞を読んだり、仕事をしたり、あるいは単にリラックスしたりと、他の活動に従事することが法的に許可されている。
今回のアップデートされたドライブパイロットでも、メルセデス・ベンツは安全性を最優先している。電気系統、ステアリング、ブレーキといった重要な機能にはバックアップコンポーネントが用意されている。必要に応じて、システムは常にドライバーに制御を戻すことができる。
万が一ドライバーが応答しなかった場合、ドライブパイロットは安全な制御下で緊急停止する。カメラ、レーダー、超音波センサー、ライダー(LiDAR)など35以上のセンサーを採用しており、これらは異なる物理原理で作動し、正確なリアルタイム環境検知を保証する。SAEレベル3の自動運転において、メルセデス・ベンツはライダーが不可欠であると考えている。
独自の測位システムと非常に詳細なデジタルマッピングを組み合わせることで、ドライブパイロットは、わずか数cmの精度で、車両がいる車線を正確に判断できる。メルセデス・ベンツは現在、他の道路利用者にドライブパイロット作動中を認知させるため、システムの状態を知らせるターコイズ色の特別な表示灯を米国とドイツでテストしている。
インフォテインメントシステムのMBUXもアップデート
メルセデス・ベンツは、インフォテインメントシステムMBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)のOTA(オーバー ジ エア)アップデートにより、Sクラスのデジタルエクスペリエンスを強化した。これらのアップデートは、ナビゲーションの改良、AIを活用した音声アシスタントの拡張、デジタル機能の追加を実現し、よりインテリジェントで直感的なドライビング体験を提供する。

S450d 4マティック ロング(マヌファクトゥーア仕様)のインテリア。
今回、マイクロソフト アズール オープンAIサービスを介して、音声アシスタントにチャットGPTが統合された。この統合により、チャットGPTはさらに自然で多機能になる。ドライバーはハンドルに手を置いたまま、マイクロソフト ビング経由で幅広い知識に関する質問に対する正確で最新の回答を得て、正しい文章の会話ができる。また、対話履歴とのシームレスなやり取りが可能になり、フォローアップの質問や継続的なコミュニケーションができる。
さらに、高解像度の鳥瞰的な視点を提供するグーグルのサテライトビューによって、ナビゲーションも強化されている。
エンターテインメントの内容も拡大した。YouTubeやソニー・ピクチャーズ エンタテインメントのビデオストリーミングサービスなど、人気のストリーミングサービスに車内で直接アクセスできる。Sクラスの後部座席では、旅を特別な映画体験に変え、豊富な映画やシリーズのセレクションを提供し、移動中に比類ないエンターテインメントを楽しむことができる。