1974年のデビュー以来、最新型は8.5世代目となっている世界的ベストセラー車・VWゴルフ。初代モデルは1975年3月から日本への導入が開始され、今年で50周年を迎える。ここでは、その半世紀の足跡を辿った「VW ゴルフ クロニクル vol.1」(2025年2月25日発売)から、モーターマガジン誌1983年7月号で取材したゴルフ1の希少モデル「GTD」の試乗記事より、冒頭部分の抜粋をダイジェストでお届けしよう。
MTの5速は超ハイギアード
ミッションは5速MTで、これは例によって恐ろしくハイギアードな設定のものだ。1588ccのSOHCディーゼルをギャレットエアリサーチのターボチャージャーで過給させて、出力は30%も向上した。つまり最高出力はオリジナルの54PSから70PS(DIN)/4500rpmと強力になった。

やや後方にスラントされた直4ディーゼルは、ギャレットエアリサーチのターボチャージャーにより70PS/4500rpm、13.5kgm/2500rpmにパワーアップ。
ターボ・ディーゼルの動力性能は、排気量の大きいガソリン・エンジンの78PS仕様にはわずかに足りないが、トルクでは完全に勝るというから、同等の性能になったといえよう。ターボの過給圧設定は0.7バールと比較的高圧。コンプレッション比はノンターボと同じ23対1であるが、出力増大のためエンジンブロックは特別に補強がなされたものを使用している。
あらかじめ暖機されていたので、エンジン始動は全くの一発スタート。心もちアイドリングの打刻音と振動が減少したようである。クラッチをミートさせ、ホイールが回転を始めた時には、もうターボが効果を見せているようなトルク感を得る。ディーゼルの特性から、やはりこのゴルフもターボによるタイムラグは少なく、聞かされていなければ、決して異質さを感じさせない素直な性格であった。
持ち前の高回転型のおかげで、市街地での走行は高いギア比を思い切り引っ張り回せる楽しさがある。それはトルクがガソリン版以上なので、中低速域では信じがたいほど活発で俊敏だからだ。(…続きはムックにて)