16SSを制する圧勝でロバンペラが完全復活
WRC初開催となるグラン・カナリア島のターマックステージで、開幕から不振だった2022&23年王者のロバンペラがついに覚醒した。

金曜日のSS1から土曜午後のSS12まで12連続のベストタイムをマーク。スーパーサンデーも制してフルポイント35点を獲得したカッレ・ロバンペラ(トヨタ)。
今シーズンから新採用のハンコックタイヤ、そのドライのハードコンパウンドが初登場することも注目のひとつだった今回、新タイヤとグラン・カナリア島のまるでサーキットのような超スムースな路面に最も最適なマシンを用意してきたのは、トヨタだった。
一方、ライバルのヒョンデ勢は、手応えがあったはずの事前セッティングが実際のステージに合わずにスタートから低調。ラリーは金曜日からトヨタ優勢の一方的な展開となった。
中でも圧巻だったのがロバンペラで、金曜日のSS1から土曜午後のSS12までなんと12連続のベストタイムをマーク。追いすがるチームメイトのオジェとエバンスを着々と引き離し、大量リードを築き上げる。
土曜日最後の短いスーパーSSで連続ベストは途切れたものの、日曜日の朝のふたつのステージでも再びベストタイムをマーク。最後は15km余りの最終パワーステージで、2番手を4秒も引き離す圧巻のベストタイムで、今シーズン初勝利を決定。同時に日曜日単独のスーパーサンデーでも1位となり、フルポイントの35点を獲得した。

トヨタ勢はシェクダウンからライバルを圧倒、1-2-3-4位を独占する歴史的勝利をあげた。
ロバンペラはドライバーズ選手権2位に浮上
「今シーズンは難しいスタートになったけど、ようやく新しい車と新しいタイヤに合わせ込むことができた。(表彰台の頂点に)カムバックできて嬉しい」とフィニッシュ後のロバンペラは満足気。完全勝利によってドライバーズ選手権でもポイントリーダーのエバンスに次ぐ2番手に浮上している。
対照的にヒョンデは最後までまったく冴えず。マニュファクチャラーズ選手権でも開幕4連勝のトヨタとの差が47点まで広がってしまった。ターマックでのラリーは秋までないとはいえ、セッティングを大きく外してしまったことは、これから続くグラベル(未舗装)路面での連戦にも不安要素。果たして、どこまで挽回できるかが今後の課題となる。

スーパーサンデー、パワーステージに賭けたヒョンデだったが、最後までトヨタ勢を崩せなかった。
次戦第5戦ラリー・ポルトガルは5月15日(木)から18日(日)にかけて、ポルトガル北部ポルト近郊マトシニョスを起点として開催される。同じくグラベルイベントとして開催された第3戦サファリ・ラリー・ケニアとはステージの特徴が大きく異なる。当初の路面は砂利や砂に覆われているが、砂が掃けると下から硬い岩盤や石が現れるなど、路面コンディションが大きく変化する。(文:新村いつき)
2025年 WRC第4戦ラリー・イスラス・カナリアス 結果
1位:K.ロバンペラ(トヨタ GRヤリス ラリー1)2h54m39.8s
2位:S.オジェ(トヨタ GRヤリス ラリー1)+53.5s
3位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)+1m17.1s
4位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)+2m02.9s
5位:A.フルモー(ヒョンデ i20N ラリー1)+2m31.0s
6位:O.タナック(ヒョンデ i20N ラリー1) +3m11.4s
7位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20N ラリー1) +3m40.7s
8位:Y.ロッセル(シトロエン C3 ラリー2) +7m10.7s
9位:A.カション(トヨタ GRヤリス ラリー2) +7m40.2s
10位:N.グリアジン(シュコダ・ファビアRSラリー2)+7m58.4s
2025年 WRCドライバーズランキング(第4戦終了時)
1位 E.エバンス(トヨタ)109
2位 K.ロバンペラ(トヨタ)66
3位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)59
4位 S.オジェ(トヨタ)58
5位 O.タナック(ヒョンデ)57
6位 A.フルモー(ヒョンデ)44
7位 勝田貴元(トヨタ)39
2025年 WRCマニュファクチャラーズランキング(第4戦終了時)
1位 トヨタ 208
2位 ヒョンデ 157
3位 Mスポーツ・フォード 58