HKS ヴェルファイア(2012年:チューンドカー)

外観はタイヤ&ホイールを変えて車高調サスで車高を下げただけだが、低くかまえたスタイルがこれほど似合うミニバンも希有だろう。
以前からスーパーチャージャーによるチューニングに取り組んできたHKSは、さまざまなクルマに対してそれを盛り込み、ベース車では絶対に味わえない別次元の速さと楽しさを提供するクルマ造りを続けてきた。だが今回のベース車はミニバンのヴェルファイア。車両重量は約2トン。低重心を狙ったわけでもなく、速さを全面に押し出したクルマでもない。それにスーパーチャージャーを付けて問題はないか? 意味があるのか? といった疑問が試乗を前に頭に浮かぶ。
開発担当者に話を伺えば、今回のスーパーチャージャー化にあたり、中間域でおよそ50psのパワーアップを果たしたという。だが、ヴェルファイアのV6は、ノーマルでもすでに280psを絞り出している・・・。エンジンルームを覗いてみると、エンジンの上にはHKS自慢のスーパーチャージャーが鎮座している。遠心式のコンプレッサーにHKS独自のトルク感応式トラクションドライブを用いたユニットは、ターボチャージャーと同じくらいのコンパクトさを実現。それゆえ、ヴェルファイアの狭いエンジンルームにもギリギリ収まった。
スーパーチャージャーを駆動するベルトを張るためのテンショナーは、エンジンとギリギリのクリアランス。ボンネットとの距離も、まるで初めからこれを装着することを計算していたかのようだ。また、フレッシュエアを引き込むためにインタークーラーに繋がるダクトをわざわざ製作するなど、見た目の完成度はかなり高い。
ここまで本気に仕上げられていると、このハイパワー化にミニバンの足まわりがついてくるのか・・・と不安になるが、試乗車はアドバンスポーツの245/40R20というワイドな大径タイヤを装着し、さらにHKS製のS-スタイル車高調をおごり、車高を30〜40mmほどダウンさせていた。これならスーパーチャージャーが発揮する巨大なトルクも、しっかり受け止めてくれるだろう。

ドライカーボン製のインタークーラーダクトやキノコ型のエアクリーナーも装着され、エンジンルームはギッシリ。