チャレンジャーとしてル・マン24時間に臨むトヨタ
1923年に第1回大会が開催されたル・マン24時間レース。世界の名だたる自動車メーカーがこのレースに挑み、鎬を削る戦いを繰り広げる中で、自動車技術を磨いてきた。ル・マン24時間を5度制しているトヨタも、1985年にル・マンに初参戦したもののなかなか世界の高い壁を打ち破れず、ル・マンで技術を磨き、2018年にようやく初優勝、「耐久レースの王者」と言われるまでになった。

開幕戦から3連勝中のフェラーリ。絶好調のままル・マンに乗り込んでくる。写真は前戦第3戦スパ・フランコルシャン6時間。
ル・マン24時間レースは現在WEC世界耐久選手権の1イベントとして行われているが、24時間という特別な戦いであることから通常のレースの2倍の選手権ポイントが獲得できるため、タイトル争いにおいても非常に重要なレースとなる。また、シリーズチャンピオンを獲得するためだけでなく、参戦するメーカー、チームは、このレースで優勝することを大きな目標のひとつとしている。
ただし、ふだんは公道として使われている部分も含めて全長13.626kmのコースは手強く、24時間連続で行われることもあって極めて過酷で、必ずしも予想どおりの結果になるというわけではない。昨年一昨年とトヨタとポルシェが有力とされた中、2年連続してフェラーリがこのレースを制している。フィニッシュまでなにがあるかわからないレースでもある。
今シーズンのWECはフェラーリが開幕から3連勝と絶好調。今年はル・マン3連覇がかかるとともに、今度は優勝候補の筆頭として他チームからマークされる立場になる。
一方、トヨタはチャレンジャーとして今年のル・マン24時間に挑むことになった。今シーズン、厳しい闘いを強いられながらも2台とも全戦でポイントを獲得、マニュファクチャラーズランキングでは2位につけている。
2025年WEC世界耐久選手権マニュファクチャラーズランキング(第3戦終了時)
1位 フェラーリ 136
2位 トヨタ 71
3位 BMW 64
4位 アルピーヌ 34
5位 キャデラック29
6位 ポルシェ 14
7位 プジョー 10
2025年WEC世界耐久選手権ドライバーズランキング(第3戦終了時)
1位 グイディ/カラド/ジョビナッツィ(フェラーリ) 75
2位 フォコ/モリーナ/ニールセン(フェラーリ)57
3位 クビサ/イーフェン/ハンソン(フェラーリ)39
4位 ブエミ/ハートレー/平川亮(トヨタ)37
5位 マコビキ/グーノン/シューマッハ(アルピーヌ)30
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10位 コンウェイ/小林可夢偉/デフリース(トヨタ)24
昨年のル・マン24時間ではフェラーリAFコルセの50号車フェラーリ499P (アントニオ・フォコ/ミゲル・モリーナ/ニクラス・ニールセン)が優勝。フェラーリは2023年の51号車に続き、ル・マン2連覇を達成した。
王座奪還を狙っていたトヨタは、7号車がわずかに及ばず2位に終わった。悪天候による長時間のセーフティカー導入などにより終盤まで接戦が続いたが、最後はピットインのタイミングをどうコントロールするか注目される中、燃料がぎりぎりの50号車フェラーリが、燃料を補給してハイペースで追い上げる7号車トヨタを振り切った。

フェラーリは一昨年2023年の51号車に続き、昨年2024年は50号車が優勝。ル・マン2連覇を達成した。
【参考】2024年WEC世界耐久選手権第4戦ル・マン24時間 決勝
1位 50 フェラーリ 499P・AFコルセ(フオコ/モリーナ/ニールセン) 311周
2位 7 トヨタGR010ハイブリッド(デフリース/小林可夢偉/ロペス)+14.221s
3位 51 フェラーリ 499P・AFコルセ(グイディ/カラド/ジョビナッツィ)+36.730s
4位 6 ポルシェ 963・ペンスキー(エストレ/ロッテラー/バンスール)+37.897s
5位 8 トヨタGR010ハイブリッド(ブエミ/ハートレー/平川亮)+62.824s