モーターマガジン社が2025年6月11日に発行したムック本「GTメモリーズ14 AX7/CXD アルシオーネ/アルシオーネSVX」が好評だ。ここでは、そのダイジェストをお届けしよう。アルシオーネ/アルシオーネSVX、1985年5月に登場し、革新的なスタイルにスバル自慢の4WDシステムを搭載した車として人気を博した。連載第1回目はアルシオーネVRターボだ。

アルシオーネは時代を超えたスペシャリティカーだ

画像: 徹底的に空力性能を追求したボディで空気抵抗係数(CD)=0.29を実現した。

徹底的に空力性能を追求したボディで空気抵抗係数(CD)=0.29を実現した。

1985年月6、富士重工業はスバルシリーズ初の本格的スペシャリティカーとして「アルシオーネ」を発売した。車名はスバル星団の中でもひときわ明るく輝く星「ALCYONE」に由来している。それまでレオーネでFFおよび4WD市場をリードしてきたスバルが、独創性と国際性を際立たせるイメージリーダーカーとして開発し、新ジャンルの高速パーソナルツーリングカーと位置づけられた。

空気力学、機能美を追求した斬新なスタイリングに1・8L水平対向4気筒SOHCターボエンジンを搭載。一般ユースの普及グレードとしFFも設定されたが、本筋はスバル自慢の4WDなどの機能が与えられたVRターボなのは間違いないところ。エクステリアで目立つところは、まず低いスラントノーズとリトラクタブルヘッドライトを採用したこと。これはまさに水平対向エンジンの特徴を生かした部分だ。

画像: フラシュサーフェスがより際立つリアビュー。スバルはこれをストリームウェッジシェイプと呼んだ。

フラシュサーフェスがより際立つリアビュー。スバルはこれをストリームウェッジシェイプと呼んだ。

スバルの水平対向エンジンは、一般的には直立したシリンダーヘッドが水平に寝ているのが特徴だ。そのため低重心で空力的に有利なキャラクターをもともと持っている。搭載にはレオーネからエンジン構造の変更やエンジンルーム内の機器レイアウトの変更を必要としたものの、コンパクトに収まった。これによって大胆なウエッジシェイプが可能になったわけだ。空力的な洗練も見逃せない。

フードの先端は、CL(揚力係数)値を低減させる形状とし、バンパーからフード上面にかけて理想的なストリームウエッジラインとしている。加えてエンジン冷却風の取入口や位置などを空力性能・冷却効率の両面から理想的な設計とした。前面投影面積を減らすと空力性能は高まるが、冷却風量が減り冷却効率の低減を招く。この相反するファクターを高い次元でバランスさせるため、ラジエーターおよびラジエーターグリルのサイズや位置、冷却風取入口・排出口の仕様設定についても徹底的な検討を行い、最適値が得られるように設置した。あわせてラジエーターサイドのエアダクトやエンジン床下のアンダーカバー等も十分に検討し、空力特性を向上させている。

画像: ノーズの先端からダックテールの果まで、徹底的に空力性能にこだわったのがアルシオーネだった。

ノーズの先端からダックテールの果まで、徹底的に空力性能にこだわったのがアルシオーネだった。

リアに目を移すと、ハイデッキ・ダックテールのトランクリッドが目をひく。適度な高さとダックテールのトランクリッド形状が、空力特性を向上させているのだ。スタイリングと調和したこのトランクリッド設計により大幅な空気抵抗の低減とリアのCL値の低減が実現した。大きく回り込んだラップアラウンドリアウインドーと三次元曲面サイドガラスもポイントだ。

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