物理的な修理&調整には、時に「限界」があったりする
一方で作業スタッフが困ってしまったのが、リアの調整です。レクサスSCはそもそもトー/キャンバーの調整カ所がかなり多く、リアには偏心カムボルトが使われているそうです。SC号は、左後輪のその偏心カムが取り付けられたアームに歪みが生じていて、最適値に調整するのが非常に難しい、という診断が出ました。

SC号のアライメント調整データ。上が調整前で、左右がバラバラになっていることがわかる。下の調整後は、リアキャンバーを除いて規定値内で収まり、左右のバランスもとられた。ネガティブキャンバーも2~3°くらいなら、許容範囲だろう。
修復歴とEDRデータの状態からてっきりフロントまわりに問題があると思ったのですが、実際は後輪に問題がありました。あくまで想像なのですが、もしかすると前オーナーがローダウンをしていた時に、アームなどに過大なストレスがかかっていたのかもしれません。
思えば装着されていたタイヤも、なかなかにスポーティなポテンザでした。クルマのキャラクターを考えれば、走り屋だったとは思えませんが、そこそこ「元気にドライブ」楽しんでいたのかも・・・。
中古車、とくに低年式車の場合は走行距離自体が少なくても、見えないところでなんらかのダメージを負っている可能性はあります。そういう意味で本来は、EDRデータと実際の走行フィールのチェックを合わせた詳しい「健康診断書」があれば、安心感も増すはず。
加えて、とくに足回りに関しては購入したら早めにアライメント系のチェックをしておいた方がよさそうです。せっかくタイヤを替えたのに、偏摩耗が出たりしたら困っちゃいますよね。
SC号の場合は後輪にちょっとばかりネガキャンがついてはいるものの、可能な限り理想の数値に近づけてもらうことができました。タイヤ交換編第3回ではいよいよ「生まれ変わった」SC号の走りの印象を、お伝えしたいと思っています。(つづく~)