強烈な加速にも驚いたが、減速の安定感がスゴい!

車両重量が軽く空力特性が優れているので、高速をクルージングすると10km/Lオーバーも可能なほど燃費も悪くない。
1速ギアでアクセルを全開にすると、力強いトルク感が背中を押す。ところが3000rpmあたりから今度は蹴飛ばすように背中がカーボン製のシートに押し付けられる。さすがはツインターボだな・・・と思った瞬間、リアが少し左右に振れトラクションコントロールが作動した。そう、強烈なトルクにタイヤは悲鳴を上げてホイールスピンを起こす。2速にギアが入ってからも、またホイールスピン! この力感、ハンパではない。
8500rpmからレッドゾーンの3.8L V8ツインターボエンジンの最高出力は600ps。最大トルクは600Nmを3000〜7000rpmという広範囲で発生する。しかも車両重量は1336kgときわめて軽く、パワー/ウエイト レシオはなんと2.23kg/ps! 速いのは当たり前かもしれない。
トラクションコントロールがホイールスピンを制御するからクルマは加速するが、本当の加速を堪能したいのならホイールスピンしなくなる3速からだろう。しかし、日本の公道では無理。簡単に制限速度を超えてしまう。
試乗車にはオプションのカーボン製のブレーキが装着されていたが、マクラーレンの推奨はスチールブレーキ。サーキット使用を前提に作られたカーボンローターよりもスチール製の方が軽いそうだ。そしてもうひとつ、エアブレーキが装備されている。これは90km/h以上で強いブレーキを踏むとリアウイングが跳ねあがり、空気抵抗でリアを抑えつけながら減速させるというもの。この安定した減速感は未知の世界だった。
やはり、本物のスーパースポーツカーは見ても乗っても本当に楽しい。2013年モデルではスパイダーも追加され、エンジンもパワーアップされるらしい。こちらにもぜひ乗ってみたいものだ。

600psと600Nmを発生する3.8L V8ツインターボエンジン。欧州複合モード燃費は8.54km/Lで、昔のスーパースポーツカーよりはかなり好燃費。
マクラーレン MP4-12C 主要諸元
●全長×全幅×全高:4509×1908×1199mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1336kg
●エンジン:90度V8 DOHCツインターボ
●総排気量:3799cc
●最高出力:441kW(600ps)/7000rpm
●最大トルク:600Nm(61.2kgm)/3000-7000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD
●燃料・タンク容量:プレミアム・72L
●EU複合モード燃費:8.5km/L
●タイヤサイズ:前235/35R19、後305/30R20
●当時の車両価格(税込):2790万円