ほかのグランプリとは異なる部分も多い伝統的なグランプリ
イタリアGPが開催されるモンツァサーキット(Autodromo Nazionale di Monza)の特徴はほかに例を見ない超高速コースであること。1922年に建設されたモンツァサーキットは、当初5.5kmのロードコースと4.5kmのオーバルコースをホームストレートで交互に入れ替えて走行する、全長10kmのとんでもない超々高速コースだった。

1.12kmにおよぶホームストレートを持つ超高速のモンツァサーキット。広いホームストレートはかつてここでロードコースとオーバルコースを交互に入れ替えて走行した名残り。
当時は自動車は超高速にチャレンジすることに大きな意味があったが、まだまだ未熟なマシンで死亡事故が多発。そのため幾度ものコース改修変更を経て、現在は4本のストレートをコーナーでつないだ5.793kmのシンプルなレイアウトに落ち着いている(開業当初のコースの名残は、広く長いホームストレートや高速コーナーに見ることができる)。
それでも最高速、平均速度とも今シーズンのF1グランプリの中で最も速く、最終コーナーのパラボリカを200km/hで駆け抜けた後、1.12kmにおよぶホームストレートでF1マシンは370km/hに達する。コース形態は典型的なストップ・アンド・ゴーで、長いストレートからのフルブレーキング、立ち上がってフル加速という繰り返しで、意外とオーバーテイクは難しい。
このサーキットでのポイントは、ダウンフォースを小さくして最高速を伸ばすこと、そしてそのダウンフォースの小さなマシンで確実にトラクションをかけること。ダウンフォースが小さいためめブレーキやタイヤへの負荷も大きく、高速からの制動をブレーキに頼りがちになるとから、タイヤやブレーキへのケアも重要となる。
今シーズンどのサーキットでも速く、昨年もフロンロウを独占したマクラーレンはここでも速さを発揮すると予想されるが、このサーキットを知り尽くしたフェラーリがどんなレースを展開するのかにも注目したい。
もうひとつのイタリアGPの特徴は、熱狂的なフェラーリファン(ティフォシ)が集結し、例年異様な雰囲気の中で行われること。各グランプリがそれぞれ個性的であることはF1グランプリのひとつの魅力ではあるが、イタリアGPはその中でも特別なグランプリと言っていいだろう。

モンツァサーキットのコース図。4本のストレートを高速コーナーでつないだストップ&ゴー型のレイアウト。
昨年2024年はフェラーリのシャルル・ルクレールが優勝
昨年2024年のイタリアGPでは、予選でフロントロウを独占したマクラーレンが決勝でも圧勝するかと思われたが、フェラーリのシャルル・ルクレールが1ストップ戦略でトップに立つと、フレッシュなタイヤで猛追するマクラーレンのふたりを抑えて、大観衆歓喜の中、ルクレールがシーズン2勝目のトップチェッカーを受けた。

昨年2024年のイタリアGPでは、フェラーリのシャルル・ルクレールが1ストップ戦略でマクラーレンを攻略。
自信満々でレースに臨んだマクラーレン陣営だったが、スタート直後のチームメイト同士の攻防の中でルクレールに2番手のポジションを奪われ、さらに予想以上にタイヤの持ちが悪く、ライバルよりも早くタイヤ交換に入らざるを得なかったのが響いた。
まさかの4列目スタートとなったレッドブルのマックス・フェルスタッペンは、ハードタイヤでのスタートを選択するギャンブルに出たが、2ストップにせざるを得ない展開となり、6位に入るのが精一杯だった。

昨年2024年のイタリアGPのタイヤ戦略。ほとんどのドライバーが2ストップとなる中、タイヤをうまくマネージメントしたフェラーリの1 ストップが勝利戦略となった。
【参考】2024年F1第16戦イタリアGP決勝 結果
1位 16 C.ルクレール(フェラーリ) 53周
2位 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)+2.664s
3位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+6.153s
4位 55 C.サインツ(フェラーリ )+15.521s
5位 44 L.ハミルトン(メルセデス) +22.820s
6位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダRBPT)+37.932s
7位 63 G.ラッセル(メルセデス)+39.715s
8位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダRBPT)+54.148s
9位 23 A.アルボン(ウイリアムズ・メルセデス)+67.456s
10位 20 K.マグヌッセン(ハース・フェラーリ)+68.302s
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13位 3 D.リカルド(RB・ホンダRBPT)+93.452s
リタイア 22 角田裕毅(RB・ホンダRBPT)
ファステストラップ 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)
さて2024年はどんなレースとなるのか。第16戦イタリアGPは9月5日13時30分(日本時間20時30分)から始まるフリー走行で開幕する。
2025年F1第16戦イタリアGP タイムスケジュール
フリー走行1回目:9月5日13時30分〜14時30分(日本時間20時30分〜21時30分)
フリー走行2回目:9月5日17時〜18時(日本時間24時〜25時)
フリー走行3回目:9月6日12時30分〜13時30分(日本時間19時30分〜20時30分)
予選:9月6日16時〜17時(日本時間23時〜24時)
決勝(53周):9月7日15時〜(日本時間22時〜)