日本を舞台にした「カーブズ」の発行記念イベント

「カーブズ」の26冊目として、日本でロケを敢行した最新号「カーブズ ジャパン」が発行される。
世界中の美しい道(とくにワインディングロード)や風景をアートとして切り取り、その魅力を写真とストーリーで伝える雑誌「カーブズ(CURVES)」が、今回、初めて日本でロケを敢行した「カーブズ ジャパン(CURVES JAPAN)」が発行されることとなった。
その発行を記念して創刊者であるステファン・ボグナー氏がドイツから来日し、2025年9月5日、台風の接近で大雨に見舞われた東京都中央区のポルシェスタジオ日本橋で、美しい写真を紹介しながらポルシェと旅した軌跡を語るスペシャルトークが開催された。
1968年に生まれ、1986年に運転免許を取得し、1994年にデザインオフィスを興したボグナー氏。仕事に子育てにと忙しい中で、自由な時間はクルマの中だけだった。そこでクルマでの旅の雑誌を作りたいと思ったのが「カーブズ」を発刊するキッカケだったという。
ヨーロッパやアメリカなど、さまざまな道の写真を撮り始め、通ったルートの地図、泊まったホテルやレストランの料理といった情報も掲載した。こうして2011年に創刊された「カーブズ」は、現在までの14年間で25冊が発行された。そして今回、26冊目として日本でロケを敢行した最新号「カーブズ ジャパン」が発行される。
5週間で東日本のカーブを走りまわって撮影取材

走ったルート(地図上の赤いライン)を説明するボグナー氏。高速道路は使っていない。
ボグナー氏は、子どものころから日本の文化や製品、ライフスタイルが好きだった。10歳のときに手にしたウオークマンからBMX、デジタルウオッチ、プレイステーション、カメラ、キーボード(楽器)などなど、日本の製品を愛用してきた。カルチャーでは「ゴジラ」や「アキラ」、ジブリといった映画&アニメーション、ファッション、建築、そしてクルマも、日本のものは素晴らしいと語る。
そんな日本好きの彼が、日本を舞台に「カーブズ」を作りたいと思ったのも無理はないのかもしれない。彼は最初に、これは日本でだけのことではないのだが、紙の地図で「曲がりくねった」面白そうな道を探してルートを計画する。
まず東京を起点に、フェリーで北海道へ。スタートは2024年10月だったが、すでに雪で通行止めの道もあったという。5〜6日を北海道で過ごしてから青森に渡り、ガソリンスタンドでドリフト好きの人に教えてもらったという津軽岩木スカイラインに感動する。
東北地方の太平洋側を南下してから本州を横断し、高山〜金沢〜京都へと進む。東京へ戻る前に伊豆や箱根のワインディングロードも楽しみ、千葉のポルシェ・エクスペリエンスセンターにも寄った。友人と2人で走った取材期間は、約5週間。カーブを求める旅だから高速道路は使わず、またカーナビもほとんど使わない。