今週末にフェラーリのマニュファクラーズタイトルが確定する可能性も
世界に名だたる8メーカーが開発したハイパーカーによる2025年WECの戦いは、開幕からフェラーリが4連勝を飾りライバルを圧倒。シーズン前半は50号車と51号車のワークスチームと、83号車のプライベートチームによる事実上「フェラーリ対フェラーリ」の構図となっていた。
ただ、第2戦で表彰台に上がる活躍を見せたBMW、アルピーヌに加え、シーズン後半に入ると、第5戦ではキャデラック、第6戦にはポルシェが優勝し、一転して混戦模様になってきた。プジョーも第6戦で表彰台を獲得し、アストンマーティンも過去最高のパフォーマンスを披露するなど、各チームのパフォーマンスが接近してきたようだ。
それでもフェラーリはすでにマニュファクチャラーズ選手権で203ポイントを獲得し、2番手のポルシェに65ポイントの大差をつけて独走体制を築いており、今週末にもフェラーリのマニュファクラーズタイトルが確定する可能性があるが、ライバルたちにとっては最終戦までタイトル決定を持ち越したいところだろう。
ドライバーズ選手権は、51号車フェラーリと83号車フェラーリが15ポイント差でチャンピオンの座を巡る戦いを続けているが、第7戦富士6時間では最大26ポイント、第8戦バーレーン8時間では最大39ポイント獲得できるだけに、6号車ポルシェ、50号車フェラーリ、12号車キャデラックなどにもまだまだチャンスは残されている。

シーズン前半をリードしたフェラーリ。このところ2戦連続で優勝を逃しているが、タイトル獲得に向けて「富士6時間」に挑む。
舞台はトヨタのホームコース、富士スピードウェイ
一方、ディフェンディングチャンピオンの王者トヨタは、今シーズンここまで6戦連続表彰台なしという厳しいレースを強いられているが、得意とするホームコースの富士スピードウェイで今季初の表彰台、優勝を狙っている。
トヨタGR010 HYBRIDの高性能ハイブリッドパワートレーンは、コース近隣にあるトヨタ自動車の東富士技術研究所で設計・開発・組み立てが行われており、この週末にはトヨタ関係者とともに開発エンジニアもサーキットへ応援に駆けつける。
ただ、富士スピードウェイは1.475kmという長いストレートを持ち最高速度が320km/hに達する一方で、コース後半は狭くテクニカルで、空力性能、メカニカルグリップ、コーナリング時のトラクションなどさまざまな要素が求められる、世界的にも難しいコース。とくにハイパーカーでは電動パワーを使える状況が限られているため、さらに難易度が増す。
2週間前に行われた前戦第6戦ローンスター・ル・マンでも上位争いに加われなかったように、王者トヨタをもってしても簡単な道のりではないが、これまで幾度も奇跡的な勝利をあげてきたトヨタに期待したい。

王者トヨタは今季いまだ未勝利、表彰台もない苦しいレースが続いている。地元で復活なるか。