日産自動車は2025年10月24日、生成AIを活用した車載エージェントシステム「AutoDJ(オートディージェイ)」を発表した。マスコットキャラクター「エポロ」をモチーフにしたAIエージェントが、音声対話とパーソナライズされたコンテンツでドライバーをサポート。さらに、みなとみらいを立体的に再現した「ジオラマナビ」もJMSに出展される。

“触れるナビ”の楽しさを再構築する「ジオラマナビ」

「AutoDJ」と並んで注目なのが、日産がジャパンモビリティショー(JMS)に出展する「ジオラマナビ」だ。これは、みなとみらい地区をリアルな3Dジオラマとして再現した立体ナビゲーションシステム。街のミニチュアの中で、磁力で動く豆粒大のクルマ模型がリアルタイムに現在地を示す仕組みだ。

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その下部にはレトロ調のラジオユニットが設けられ、物理的なつまみやプッシュボタン、さらには受話器まで備える。

「タッチパネルが主流の時代だからこそ、あえて“操作する楽しさ”を取り戻したかった」と開発陣は語る。デジタル全盛の中で、アナログの温かみを感じられるインターフェースとして設計されている。

AIラジオからは、目的地やナビ情報に合わせて生成される観光案内やBGMが流れ、毎回異なるストーリーが展開される。乗るたびに新しい発見があり、街そのものが“舞台”になる体験だ。まさに、AIが作り出す「旅するメディア」と呼ぶにふさわしい。

日産が描く“AIと人の関係性”には、効率だけでなく遊び心も

モビリティ&AI研究所の上田哲郎エキスパートリーダーは、「20年前にもAutoDJという名称の機能は存在していたが、当時は決められたルールで情報を提供するだけだった」と語る。今回のプロジェクトは、その原点を最新の生成AIで再構築した再挑戦でもある。

「AIに求められるのは効率化や安全性の確保だけではない。遊び心や楽しさをどう加えるかが大切」と上田氏は言う。あえてフィギュアやジオラマといった“非効率”な物理要素を取り入れたのも、人とAIの関係をより温かく、個性的にするための試みだ。

日産のスローガン「他のやらぬことを、やる」。その精神を象徴するかのように、「AutoDJ」と「ジオラマナビ」はテクノロジーに人間味を取り戻す挑戦といえる。近未来の車内で、AIとともに会話し、街を“聴きながら”走る。そんな新しいドライブ体験が、すぐそこまで来ている。

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