トヨタのDNA=パワー、走り、信頼性を「ホットロッド」で表現
開発を担当したのはトヨタの “Motorsports Garage” チーム。彼らが掲げた哲学は「見た目はオリジナル車、それでいて中身は最新技術」である。
エンジンスワップの手法も徹底しており、たとえばエンジン本体のマウント位置、オイルパン、ワイヤリングハーネス、ヒートエクスチェンジャーなど、専用設計でFJ60の構造を活かしつつ最新エンジンと融合させている。
特に「ファイアウォールを切削せず/マウント位置を変更せず」という設計指針が、クラシック然とした外観をキープする鍵になっている。

角目2灯と“TOYOTA”グリルが象徴のFJ60顔を忠実に再現。強化サスで姿勢を整え、オフも街も映える端正なフロント。

スクエアなテール造形と当時風エンブレムを活かしつつ、車高アップと堅牢なリジッド懸架で走りを刷新。クラシックと機能の両立。
また、パワートレーンだけでなく足まわりも刷新。オフロードの荒れた道でも性能を発揮するため、35インチタイヤ+リフトアップという仕様変更を実施しながらも、見た目の“クラシック”感を崩さないように工夫されている。シャックルリバーサル(前リーフの“シャックル(可動側)を前→後ろに付け替える改造のこと)という少々マニアックな改造も、オフロード挙動の改善を目的として組み込まれている。
このように「伝統と革新」を融合させた本プロジェクトは、単なる展示車を超えて、トヨタが保有するレガシー(遺産)に最新技術をどう組み合わせるか、というメッセージを発しているとも言える。

当時のメーターやストライプ地シートを残しつつ、センターモニターと電装を現代化。レトロ感と実用性を両立したコクピット。
開発者のひとり、マーティ・シュワター氏(トヨタ モータースポーツ ガレージ責任者)は「これはホットロッド的アプローチだが、トヨタのDNA=パワー、走り、信頼性という要素も含んでいる」と述べており、単なる過去の再演ではなく、現代のトヨタが掲げる自動車像との親和性を強く持つことを明らかにしている。
このモデルは、改造パーツを多数使用しているため、純正車両ではなくワンオフ展示コンセプトという位置づけであり、実売化の予定は明言されていない。

