燃費性能と動力性能の両立にはぐうの音も出ない
試乗した328iには、他車と同様ドライビング・パフォーマンス・コントロールが装着されており、そこには1シリーズから設定されたECO PROモードも加わっている。エアコンや電装品の稼働状況までも制御して燃費を絞り出すというこのモードと、新設定の8速ATやスタート&ストップシステムなどの相乗でマークする328iのCO2排出量は、規定値を射程圏内に捉える147g/km。これを6.1秒の0→100km/h加速や250km/hリミットの最高速と両立させているのだから見事というほかない。さらに、ベースモデルの320iはより燃費寄りのマネジメントとなることは必至で、未発表ながらその数値は130g/kmに限りなく近いものとなるだろう。
ライバルを圧するこの性能を示された上で、いざ328iを走らせてみると、その動力性能にはぐうの音も出ないというのが偽らざる印象だった。エンジンの泣き所はいかんともし難いサウンドのみ、というほどに新しい2L直噴直ターボはよくできたエンジンだ。昨今の完全台形トルクカーブに慣れた身には、豊かな低速トルクには驚かされずとも、トップエンドに向かうパワーの乗せ方やレッドゾーンまでの吹き抜け感など、それは環境対応型のターボユニットとしては立派なもので、さすがにエンジン屋と唸らされる。
それでも官能性において従来の直列6気筒が優れていたことは確か・・・となるわけだが、昨今のBMWにはそれを補うかのようなシャシの艶やかなセットアップが持ち味となっている。それは3シリーズも同様で、軽妙さと粘り強さとを綺麗に結びつけたハンドリングは、常速域での努めてフラットなライド感からくる、文句なしの快適性としっかり同居していた。そう、今度の3シリーズはシャシ推しで買っても間違いなく満足できる、そんな新たな一面をも備えているクルマだ。(文:渡辺敏史)

318iに搭載される2L直列4気筒ターボユニット。最高出力180kW(245ps)、最大トルク350Nm(35.7kgm)。
BMW 328i 主要諸元
●全長×全幅×全高:4624×1811×1429mm
●ホイールベース:2810mm
●車両重量:1530kg〈1505kg〉
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1997cc
●最高出力:180kW(245ps)/5000-6500rpm
●最大トルク:350Nm(35.7kgm)/1250-4800rpm
●トランスミッション:8速AT〈6速MT〉
●駆動方式:FR
●最高速:250km/h〈250km/h〉
●0→100km/h加速:6.1秒〈5.9秒〉
※EU準拠、〈 〉内は6速MT
BMW 320d 主要諸元
●全長×全幅×全高:4624×1811×1429mm
●ホイールベース:2810mm
●車両重量:1505kg〈1495kg〉
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●排気量:1995cc
●最高出力:135kW(184ps)/4000rpm
●最大トルク:380Nm(38.8kgm)/1750-2750rpm
●トランスミッション:8速AT〈6速MT〉
●駆動方式:FR
●最高速:230km/h〈235km/h〉
●0→100km/h加速:7.6秒〈7.5秒〉
※EU準拠、〈 〉内は6速MT
