万全を期して行われたフルモデルチェンジ
シリーズ累計1200万台超。プレゼンテーションの場でその莫大な販売台数を聞いて、はたと思いを改めた。3シリーズは彼らにとって基幹車種なんてものではない。もはや精神的支柱ではないかと。
BMWを名だたる自動車メーカーへと導いたノイエ・クラッセの時代に立ち戻れば、彼らはこのクラスを核に前後左右へと商品展開を図ってきた。今でこそ5シリーズが半ば主軸となりつつあるが、気持ちの拠り所は絶対にこのクルマにある。それはトヨタにとってのカローラと同義と言ってもいいだろう。
とあらば、絶対にコケられないという想いはひとしおのはず。そこで1シリーズのフルモデルチェンジを伸ばし、刷新したアーキテクチャの露払い的なタイミングで登場させた、というのは邪推だろうか。ともあれCO2総量規制やユーロ6導入などの試練を受け止めるべく3シリーズのフルモデルチェンジが盤石に執り行われたのは、意外なところからも見て取れた。
95mmの全長拡大や50mmのホイールベース延長など、骨格を叩いて作り出したトランクスペースは現行より30L大きな480L、フロア下に大きなストレージが設けられている。公言されているActiveHybrid用のリチウムイオンバッテリーや、いずれは登場するだろうユーロ6ディーゼル用の尿素SCRシステムを搭載するためのスペースを、新しい3シリーズはすでに用意している。2015年辺りには各種新規格への対応があらかた完了しなければならないという中で、BMWの主要ラインナップはライバルに先駆けたモデルチェンジでその下準備を終わらせつつあるという印象だが、いよいよ3シリーズもそこに至ったというわけだ。
日本のファンには、なおさらにBMW＝直列6気筒というイメージは強い。それだけに今回、議論の的になりそうなのが主力となる2L直噴ターボのエンジンだが、その数字を見るにここでもBMWは他社に先んじた効率を示している。
トップエンドに向かうパワーの乗せ方やレッドゾーンまでの吹き抜け感など、318iのエンジンは環境対応型のターボユニットとしては立派なもの。
