定番モデルとは思えない大胆な跳躍ぶりに驚いた
そして、それほど言うだけあって、走り、とくにシャシ性能の進化は凄まじいものがあった。1シリーズの劇的な変化を体験した後だけに、ある程度は予想できたとは言え、先代からの跳躍ぶりにはやはり圧倒された。
静粛性はすこぶる高く、乗り心地も当たりが抜群にしなやか。ボディの剛性感も、これはと思わせるほど高い。その上でサスペンションが実によく動き、とくにドライビング・パフォーマンス・コントロールを「COMFORT」にすると、フラット感も路面からの入力に対する当たりの滑らかさも、このセグメントの従来の常識が塗り替わったと強く実感させられるのだ。誤解を恐れずに言えば、先代は一体何だったんだという感じである。
それでいて走りの鋭さは削がれていない。ステアリング操作に対してノーズがスッとインを向き出すと、一瞬の遅れもなくリアが追従して、クルマ全体で旋回していく。この一体感は今までもBMWの走りのキモだったわけだが、新型3シリーズは次元が違うという印象。この感覚は、全長4.6m超のセダンを運転しているという事実を忘れさせると言っても過言ではない。
わずか1250rpmから最大トルクを発生するエンジンと、矢継ぎ早に、そして滑らかにシフトアップを繰り返す8速ATのマッチングも上々で、いかにも高効率な加速感には新しい歓びがある。とくにECO-PROモードの乾いた雑巾をさらに絞るような節約モードの走りっぷりにはかえって小気味良さを覚えるほどだ。しかも、回せばしっかり7000rpmまで使い切ることもできるのだから良くできている。これぐらいメリハリがあれば、使い分ける気にもなる。
しかし、それでもやはり回転フィーリングに物足りなさを覚えたことは否定できない。ストレート6の載ったモデルからの買い替えは、まだためらってしまいそうだ。誰もが抱くような印象だが、そう感じてしまったのだから仕方がない。4気筒でも、たとえばE90型3シリーズの2Lバルブトロニックユニットなどは、もっとスムーズで表情もあったと思うのだが・・・?
走りの話に終始してしまったが、その他の部分も含めて感じるのは、随分と大胆なかたちで進化したなということ。定番車種のモデルチェンジは容易ではないはずだが、見た目にしてもエンジンラインナップにしても、あるのは攻めの姿勢だけと言っていい。大胆な跳躍ぶりには驚いたが、同時に先へと進む強い意思に、強い感銘を受けたのも事実だ。
あるいは、それこそが3シリーズというクルマなのかもしれない。定番とはずっと変わらないものではなく、常に進化して同じ立ち位置に居続けることを言うのである。(文:島下泰久)

320dには2L直列4気筒ディーゼルターボエンジンが搭載される。最高出力135kW(184ps)、最大トルク380Nm(38.8kgm)。
BMW 328i 主要諸元
●全長×全幅×全高:4624×1811×1429mm
●ホイールベース:2810mm
●車両重量:1530kg〈1505kg〉
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1997cc
●最高出力:180kW(245ps)/5000-6500rpm
●最大トルク:350Nm(35.7kgm)/1250-4800rpm
●トランスミッション:8速AT〈6速MT〉
●駆動方式:FR
●最高速:250km/h〈250km/h〉
●0→100km/h加速:6.1秒〈5.9秒〉
※EU準拠、〈 〉内は6速MT
BMW 320d 主要諸元
●全長×全幅×全高:4624×1811×1429mm
●ホイールベース:2810mm
●車両重量:1505kg〈1495kg〉
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●排気量:1995cc
●最高出力:135kW(184ps)/4000rpm
●最大トルク:380Nm(38.8kgm)/1750-2750rpm
●トランスミッション:8速AT〈6速MT〉
●駆動方式:FR
●最高速:230km/h〈235km/h〉
●0→100km/h加速:7.6秒〈7.5秒〉
※EU準拠、〈 〉内は6速MT

