フロントグリルはよりシャープに、より立体的に
現行の4代目アウディA4(社内コードB8)は、2007年秋のデビュー時から、メルセデス・ベンツ CクラスやBMW 3シリーズとともにドイツ御三家の一角を担ってきた。
インテリアの上質感や快適性、走りに関しても十分に戦える実力を備えていたことに疑いの余地はない。しかし経年による変化は厳しく、現在ドイツでの販売台数はCクラスはおろか、フルモデルチェンジ直前の3シリーズにもあと一歩及ばない状況にある。もちろんアウディもそこは計算済みで、今回のフェイスリフトでは主力モデルの復活という重要な意味を持っているのである。
12月初旬、新型A4の試乗会は、雪がちらつき始めたドイツとは対照的に、まだ暖かな陽射しが感じられる大西洋に面した南欧ポルトガルのリスボン郊外で行われた。
試乗会場の駐車場に並んだ新型A4は、シャキッとリフレッシュした印象を受ける。フロントまわりはグリルやバンパー、ヘッドライト、ボンネットなど、すべてが刷新されている。従来モデルがエレガントで上品なイメージだったのに対し、新型はそのキャラクターを受け継ぎながら、中に秘めていたスポーティさを引き出した感じである。しかし相変わらず他のアウディのモデルとの近似性は強く、100m離れるとA6と見間違えてしまう。

フロントはヘッドライトやボンネット、グリルやバンパーまで、エクステリアはほとんどの部分が刷新されている。リアデザインもテールライトの形状を変更し、より締まった印象を醸し出している。
一方、中身は見た目以上に改良が施されている。まずシャシは、走行性能と快適性の向上を目的に、従来から90%も設計が見直された。注目は完全新設計の電動パワーステアリングで、直進時にアシストを完全にカットして電力消費を抑え、燃費改善を図っている。その効果は100km走行あたり0.3Lにもなるという。ほとんど直線のような緩いカーブを走行中、スイッチがオン/オフするような感覚が手に伝わってくるが、ステアリングフィールは基本的に自然で、ドライバビリティに問題はない。
次にエンジンだが、もっとも注目すべきは新開発の1.8TFSIだ。このエンジンは、直噴と非直噴のインジェクターを併用しているほか、ターボチャージャーやバルブ制御、冷却システムなど、多岐にわたって新たに設計された新世代ユニットである。125kW(170ps)の最高出力は従来と同じだが、最大トルクが280Nmから320Nmへ増大している。燃費性能も欧州テストサイクルでセダンが100km走行あたり5.7L(日本式にそのまま換算すれば17.5km/L)で、従来から18%も改善され、同時にCO2排出量もわずか134g/kmに削減されている。ちなみに新型A4は、前述の電動パワーステアリングに加えてスタートストップシステムの全車標準化などにより、全車平均11%の燃費改善を達成している。
