2026年1月9日から11日まで開催される、新年の幕開けを祝う自動車イベント「東京オートサロン」にまつわる事前情報が、文字どおり巷を飛び交っている。2026年もいろいろな「初夢」を見せてくれそうだが、中でも注目したいのが独立したブランド感を強烈にアピールする「GR」のラインナップ。話題の中心となりそうな「GR GT/GR GT3」は、パフォーマンスはもちろん環境性能という意味でもこれまでの常識をブレークスルーするモデルとなる?かもしれない可能性を想像(妄想?)してみた。

多彩な分野で水素エンジンの可能性が拡がっていく

そもそも水素活用にまつわる「需要」の掘り起こしに関して言えば、日本は世界をリードしているらしい。とりわけ水素エンジンに限っても、2025年のジャパン モビリティショーでは三菱ふそうが水素で走る2タイプのコンセプトトラックを発表。液体水素を燃料とする燃料電池仕様とともに、気体水素を燃焼させて走る水素エンジン搭載車もお披露目した。

カワサキモータースジャパンは水素エンジンモーターサイクルやそれに搭載する4気筒エンジン、さらには6気筒の水素エンジン(こちらは航空機用らしい)のモックアップを展示。モビリティひとつとっても可能性が多岐に広がっていく。

画像: 三菱ふそうがJMSで発表した2台のコンセプト。写真右が、水素燃焼エンジンで駆動する大型トラック(H2IC)、左が液体水素を燃料とする燃料電池大型トラック(H2FC)だ。

三菱ふそうがJMSで発表した2台のコンセプト。写真右が、水素燃焼エンジンで駆動する大型トラック(H2IC)、左が液体水素を燃料とする燃料電池大型トラック(H2FC)だ。

「移動手段」としては鉄道でも、脱酸素に向けた水素の活用が加速している。JR東日本とトヨタ自動車、日立製作所が共同開発した水素ハイブリッド電車「HIBARI」は2030年の実用化を目指す。2023年にはJR東海が、ディーゼルエンジンの代替として水素エンジンの活用を目指すことを表明、2025年11月にはハイブリッドシステムと組み合わせての模擬走行実験を報道陣向けに公開している。輸送関連では物流系の水素化に向けた取り組みも着実に進んでいるようだ。

産業用の可搬式エンジン発電機に、水素を燃料として利用する取り組みも着実に進んでいるそうだ。先駆的な企業のひとつが発電機、溶接機などを製造・販売しているデンヨー株式会社で、その心臓部にはクボタが他に先駆けて開発した水素エンジンを搭載する。

画像: クボタが開発を進めてきた3.8L 4気筒水素エンジン。既存のエンジンとサイズはもちろんパワーアウトプットもまったく同じなので、たとえば可搬式発電機に搭載する際も、よりコストメリットのある「乗せ換え」で対応することができそうだ。

クボタが開発を進めてきた3.8L 4気筒水素エンジン。既存のエンジンとサイズはもちろんパワーアウトプットもまったく同じなので、たとえば可搬式発電機に搭載する際も、よりコストメリットのある「乗せ換え」で対応することができそうだ。

デンヨーのリリースによれば、軽油と水素を混合して使う「混焼システム」はすでに実用化が始まっており、水素だけを燃料として利用する「専焼システム」搭載の発電機も市場投入段階に至っているという。同ジャンルとしてはヤンマーが、水素エンジンを船舶用の動力源に用いる研究・開発を進めている。

サプライチェーンに課題も。「応援」こそがその支えとなる

発電や製鉄なども含めて、多彩な分野でさまざまな形の需要が高まれば、おのずから水素の供給も価格も安定するはずなのだが、現状は主にサプライチェーンの部分でいろいろと課題が残っているらしい。地政的リスクも含めて製造・供給の速やかな安定化が求められている。要は、肝心かなめの「コスト」の低減という課題に行きつくことになるのだけれど。

画像: レースを通して、市販モデルへの技術を確立するとともに、同じ志を持つ「仲間たち」とともに安定供給に関わる事業環境の課題克服も進む。

レースを通して、市販モデルへの技術を確立するとともに、同じ志を持つ「仲間たち」とともに安定供給に関わる事業環境の課題克服も進む。

なによりも燃料供給の不安定感やコスト高は、あらゆる関連事業継続の重石となる。だがトヨタをはじめ志を同じくする「仲間たち」はへこたれてはいない。FCEVに続きエンジンの社会実装を推し進める中で、水素ステーションなどの「環境整備」にも積極的に取り組む。

そこでは水素ステーションの維持コストを下げるためにさまざまな設備の耐久性を高めたり、メンテナンスコストを抑えるといった「安定的事業化」に向けた努力が着実に進められている。

画像: 水素ステーションで使われている水素充填ホースは、極低温にも耐える構造を持つ。一方でその耐久性が常に課題となってきた。開発を担うブリヂストンが提案する新しい充填用ホースは、従来の10倍に当たる1万回もの充填を可能にする高い耐久性が与えられている。

水素ステーションで使われている水素充填ホースは、極低温にも耐える構造を持つ。一方でその耐久性が常に課題となってきた。開発を担うブリヂストンが提案する新しい充填用ホースは、従来の10倍に当たる1万回もの充填を可能にする高い耐久性が与えられている。

2024年10月から施行された「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律(通称:水素社会推進法)」によって、公的支援の体制が整いつつあることも追い風になるだろう。細かい部分に関してはまだ未整備の要素も多分にあるようだが、安定した水素(とくに低炭素水素)の供給に向けた土台が整備されることは今後、この業界への参入を考えている事業者のモチベーションを高めうる。「仲間づくり」もさらに勢いがつくはずだ。

いちクルマ好きのシンプルな願いとしては、そうした「整備」のおかげで、水素の小売価格もより使いやすいレベルへと近づいてくれることを期待したい。

水素社会の実現に向けて、自動車を含むモビリティの分野は確かな進歩を見せていると思う。だからこそ、そうした努力が息切れすることなく継続できるような後押しが必要だ。将来、その恩恵を受けることになるユーザー、つまりは私たちの応援もそのひとつ。常にその動向に注目しながら、檄を飛ばすくらいの勢いでエールを送りたいものだ。

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