スポーツカーにも環境性能の高さを求められるなか、2024年10月に日本でも発売された新型911 GT3はどのような進化を果たしたのか。また、標準仕様のほかに用意される「ツーリングパッケージ」と「ヴァイザッハパッケージ」の違いを国際試乗会で味わった。(Motor Magazine2025年4月号より。文:島下泰久)

貪るようにアクセルペダルを踏み込んでしまう

ポルシェ 911 GT3の初代モデルがデビューしたのは1999年。水冷化されて最初のモデル、タイプ996でのことだ。伝説となっている空冷時代のカレラRSをベンチマークに、ドライビングプレジャーをとことん追求して生まれたこのGT3は多くのファンを魅了して、瞬く間にその名をアイコニックなものへと押し上げた。

あれから実に四半世紀。タイプ992の後期型となる最新の911 GT3が、いよいよ姿を現した。試乗の舞台はスペイン バレンシア。サーキットと一般道で、じっくりその魅力を堪能した。

画像: 510ps/410Nmを発生する4L自然吸気エンジンを搭載するポルシェ 911 GT3。

510ps/410Nmを発生する4L自然吸気エンジンを搭載するポルシェ 911 GT3。

二律背反する性能を両立させたピュアスポーツカー

歴代GT3の魅力の大部分を占めてきた、高回転高出力型の自然吸気フラットシックスは継承された。水平対向6気筒4L自然吸気ユニットの最高出力は510ps、最大トルクは450Nmである。

おや? と思われた方もいるだろう。実は最高出力は従来と同様、最大トルクはむしろ20Nmダウンなのだ。一体、何が起きたのか?

これは主に最新の排出ガス規制をクリアするためだという。たとえば最新のEU6では、NOxもPMも従来より30%も低減しなければならないのだ。新型は4基も触媒コンバータを装着するなどして、それに対応している。当然、それは出力面では不利になる。

そこで今回、吸排気ともにカム作動角を拡大し、独立スロットルもエアフローを最適化。冷却系も一新するなどエンジンは内部に大きく手が入れられている。この出力も、不変の9000rpmというレブリミットも、何もしていないのではなく、厳しさを増す条件下で必死に勝ち取った果実なのだ。

画像: 自然吸気4Lエンジンの最高出力は8500 rpmに発生、タコメーターのレッドゾーンは9000 rpmから始まる。

自然吸気4Lエンジンの最高出力は8500 rpmに発生、タコメーターのレッドゾーンは9000 rpmから始まる。

とはいえ、下がったトルクを補うために今回、7速PDKも6速MTも最終減速比が8%下げられている。おかげで3・4秒という0→100km/h加速は変わらず。一方、最高速は7速PDKで318km/hから311km/hに下がっているが、ル・マンのサルテサーキットを走るのでもなければ、困ることはないはずである。

シャシにも徹底的な改良が施された。フロントダブルウイッシュボーン式サスペンションにはアンチダイブジオメトリーを採用。空気抵抗の少ない雨滴形状とされたトレーリングアーム、サスペンションの有効ストロークを拡大する短縮されたバンプストッパーなどを採用し、標準タイヤはウエットグリップ向上が図られている。

外観を見ると、ライト機能がLEDマトリックスヘッドライトに集約されたことで開口部が拡大されたほか、スポイラーリップやディフューザー、リアスポイラーなどが刷新されている。これらはすべて空力性能向上のためだ。

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