徹底的な高効率化、15mmローダウンも燃費向上のため
また、走行抵抗の低減にも力が注がれて、フロントのハブとベアリングに軽自動車として初となる一体構造を採用、回転抵抗の低減と軽量化を果たした。リアホイールベアリングも低抵抗化、ホイールキャップやスチールホイール、ドライブシャフト、トレーリングアームは設計変更によって軽量化された。タイヤはトレッドゴムを新開発し、内部構造の最適化で空気圧を標準タイヤの240kPaから280kPaに高めて転がり抵抗を大幅に低減した専用モデルだ。
さらにスプリングとショックアブソーバ変更で全高を15mmダウン。ボディ下部への空気流入量を減らし、タイヤが隠れた分だけ前面投影面積も減少することで空気抵抗の低減も図られた。この変更は80km/hぐらいから上の速度域で効果が出てくるとのこと。フロントバンパーはコーナー部分にフラットな面を設けて空気の流れをスムーズにし、さらにバンパー肉厚を薄くして軽量化も実施されている。
アイドリングストップの制御にも新プログラムが加わった。減速時に車速が9km/h以下になるとエンジンを停止させるとともに、停車時のアイドリングストップ時にハンドルを操作するとエンジンが再始動する機能を付加した。

アイドリングストップは自然な印象。減速時に車速が9km/h以下になるとエンジンが停止する。機能のオフも可能。
アルト エコは、凄いモデルだ。30.2km/LというJC08モード走行燃費を実現するために、徹底的な高効率化が行われたスペシャルモデルだと思えた。スズキのエンジニアに話を聞くと、「アルトの実際の使われ方では、1日に10kmとか20kmぐらいという走行パターンの方が多いですね」とのこと。確かに、走らせてみると、遠方へのドライブより近距離をこまめに走らせるという用途を優先して最適化されていることが感じられた。
とはいえ、大多数のユーザーにとって、燃費の値は非常に大きなアピールを備えているのも事実だ。今後、アルト エコで培われた先進的かつ高効率なテクノロジーは、他のモデルにも広く導入されて、花開いていくのだろう。(文:Motor Magazine編集部 香高和仁)
スズキ アルト エコS 主要諸元
●全長×全幅×全高:3395×1475×1520mm
●ホイールベース:2400mm
●車両重量:740kg
●エンジン:直3DOHC
●排気量:658cc
●最高出力:38kW(52ps)/6000rpm
●最大トルク:63Nm(6.4kgm)/4000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:FF
●車両価格(税込):99万5000円(2012年当時)



