
水素・燃料電池だけでなく、脱炭素に向け多くの企業が展示していた。
2026年3月17日(火)〜19日(木)まで東京ビッグサイトで開催されていた世界最大級の水素・燃料電池展「H2&FC EXPO 2026 春」で、ヒョンデは水素ソリューションの最新技術を公開、さらにこの春に日本市場へ導入予定の水素電気自動車「新型ネッソ」を展示、その試乗体験会も実施した。

ヒョンデブースはホワイトとブルーで統一されていた。展示されていた車両は、2026年春に日本市場へ投入されるFCEVの新型ネッソ(水素電気自動車)である。
Hyundai Motor Group(ヒョンデモーターグループ、以下HMG)は、1998年から約30年にわたり水素を研究、独自の水素事業ブランド「HTWO」を展開している。そこでは水素自動充填ロボットや燃料電池スタックなど水素技術を研究、開発している。
そんなヒョンデは「H2&FC EXPO 2026 春」に出展、ブースでは、こうしたヒョンデのHTWOブランドの紹介に加え、水素充填ソリューション、水素充填ロボット、燃料電池システムのアプリケーションやスタック、水素場バーナーへの移行、水素トラック・バス、新型ネッソ実車展示、水素電気自動車ストーリーなどが紹介され、とても興味深い展示内容だった。
プレゼンテーションでは、本国Hyundai Motor Company(ヒョンデモーターカンパニー)の R&D 本部から水素燃料電池設計1室室長のDuckhwan Kim(キム・ドクファン)常務や水素電気自動車性能試験チームのMintaek Kim (キム・ミンテク)主任研究員、MLV Project 2チームのSeeun Ha(ハ・セウン)研究員がHTWOブランドで研究・開発している水素関連事業の展示内容の説明がされた。
またこのイベントに合わせて来日した、イヴァナ・イェメルコヴァ ハイドロジェンカウンシルCEOやHMGの水素事業の責任者、チェ・ソホHMG常務とイ・インアHMG常務に単独でインタビューすることができた。

千葉:日本で水素自動車は、普及したとは言えません。日本で水素電気自動車や水素社会を浸透させるヒントになるかもしれませんので韓国の水素自動車の状況を聞かせてください。先代ネッソはこれまで何台ぐらい販売しましたか。
チェ・ソホ常務「初代ネッソは2018年に発売し、グローバルで4万台以上を販売しています。新型ネッソは2025年に韓国で発売されましたが、市場の反響はとても好意的なものです。まずはこの機会に試乗してその雰囲気を味わってみてください。商品性が良いのでさまざまな可能性が広がります。そこを感じていただけると思います」
千葉:すでに韓国で発売されている新型ネッソですが、先代に比べて販売の傾向は変わりましたか? どのような人がネッソを購入されていますか?
チェ・ソホ常務「購入者の満足はとても高いです。便利にそして気楽に使っていただいてます。また韓国では補助金も出ていますので購入のハードルも低くなっています。水素充電ステーションの数も韓国内に約240カ所あり、さらに新型になって商品性がアップしたことが満足いただけている理由だと思います」

このイベントの正式名称は「第25回SMART ENERGY WEEK 春 H2&FC EXPO 水素・燃料電池展」となる。このイベントに合わせて新型ネッソの体験試乗会も開催された。
千葉:購入者は先代からの乗り換えの方が多いですか?
チェ・ソホ常務「そういう人もいらっしゃいます。また新規のユーザーも多くいます。乗ると新しいクルマだということを体感いただけます。新型ネッソは、一充填走行距離1014kmと走行距離が長いことが魅力ですから、長い走行距離が必要だというライフスタイルを持っている人に好まれています。または走行距離はそれほど必要ないけれど水素の充填時間が短いことにメリットを感じている人にも受け入れられています」
千葉:ヒョンデは水素事業のトップカンパニーですが、韓国では、ネッソのほかに水素電気自動車は数多く走っていますか? ヒョンデ以外にも何モデルほどありますか?
イ・インア常務「韓国では、バスと乗用車を含めて3000台上の水素電気自動車が走っています。乗用のFCEVは韓国ではネッソしかありません。ヒョンデ以外では、小さなバスのような商用車を開発しているところはあるかもしれません」
チェ・ソホ常務「商用車はヒョンデだけです。走るルートが決まっていて走行距離が計算できるので900km以上走る路線バスなどでも水素電気バスが使われています。現在、韓国では240カ所ぐらいの充填ステーションがありますが、このうちの約30%をヒョンデが投資、または運営しています。これはヒョンデにも使用者にもウインウインの関係にあると考えます」

ヒョンデが開発している水素充填ロボット。これが普及すれば、便利な24時間の水素充填が可能になるかもしれないが、実証実験とこれから進めていく段階だという。
千葉:日本では、水素電気自動車はほとんど走っていません。それは水素ステーションなどのインフラが十分にないことと、法律的な規制もあり場所や時間の制約も多く、水素ステーションで充填するハードルも高くなっています。こうしたインフラが十分ではないということは、ユーザーは不安が先立ち水素電気自動車に手を出しません。韓国では違うのですか? 先代ネッソも日本での販売は苦戦していたと思います。そんな日本市場でネッソをどのようにアピールしていこうと考えていますか?
イ・インア常務「充填ステーションの規制は、韓国も日本も同じです。セルフで気軽に充填するような環境にありませんが、ヒョンデはアプリを開発し、水素ステーションの予約ができたり、空き状況などがわかりやすく使いやすい水素充填環境にしています。さらにネッソのナビゲーションにも水素ステーションの情報や使用状況が表示できたり、水素ステーションを含んだルートプランもナビゲーションに表示することもできます」

Hyundai Motor Company R&D 本部 MLV Project 2 TeamResearch Engineer Seeun Ha(ハ・セウン)さんは水素充填ロボットのプレゼンテーションを行った。
千葉:最後にひとつお聞きします。水素の充填ロボットのデモもありましたが、あれだと水素の充填にスタッフが必要になりません。日本でも普及させる予定ですか?
チェ・ソホ常務「その気持ちやモチベーションはあります。でもまだこれからですね。電気自動車用のロボットで実証実験はしていますが、水素はこれからする予定です」
千葉:ありがとうございました。電気自動車用の充電ロボットや水素充填ロボットはとても興味があります。ぜひ取材してみたいです。

インタビューに対応してくれたのは、右からハイドロジェンカウンシルのIvana Jemelkova(イヴァナ・イェメルコヴァ)CEO、Hyundai Motor Group エネルギー&水素事業本部 エネルギー&水素コミュニケーションMI室 Ina Lee(イ・インア)常務、そしてHyundai Motor Group Hydrogen and Fuel Cell Development Center 水素燃料電池開発センターSeo Ho Cho(チェ・ソホ)常務である。
今回のHTWOブランド事業で強く興味を持ったのは、水素充填ロボットである。現在、水素ステーションでの充填作業は、法制約も多く専門のスタッフがいないとできないが、ロボットが普及すれば、セルフ化も可能になってくる。水素電気自動車の本格的な普及は、こうした規制緩和や技術によって実現することだろう。


