ハイペースについていけず、勝田は優勝戦線から後退
「速く走ることは重要だよ。でもそれより大切なのは最後まで走り切ることだ。僕はたとえ誰かがより速くても絶対にパニックになったりしない。ただ自分のリズムをキープするだけさ」
最終パワーステージを前に、自身のWRC68勝目をほぼ確実なものとしたオジェが口にした言葉だ。これが、今回のラリーのすべてを現していた。
2戦続けてのターマック戦となったカナリア諸島は、ダーティな路面だった前戦クロアチアとは対照的な、インカットできないクリーンな路面のステージが特徴。要求されるのは、まるでサーキットを攻めるような正確なドライビングで、タイヤのパンクやマシントラブルの出る可能性も少なく、真の速さが試される。そんなラリーで、トヨタGRヤリス ラリー1は初開催だった2025年同様、ライバルをまったく寄せ付けなかった。
中でも別格のスピードだったのがオジェとソルベルグだ。ふたりのハイペースにまず、ポイントリーダーの勝田がついていけずに優勝戦線から脱落。続いてパヤリ、さらにはエバンスも差を広げられ、土曜日終了時点で優勝争いは完全にふたりに絞られた。

金曜日、厳しいスタートとなった勝田貴元。土曜日にはマシンがかなり良くなり、追い上げを見せたが4位にとどまった。

最終日に追い上げて、パヤリと10.4秒差の総合4位でフィニッシュした勝田貴元。パワーステージ2番手タイム、スーパーサンデー4位によりボーナスも獲得、ドライバー選手権では2位に後退したが、それでも首位エバンスとはわずか2ポイント差。
オジェとソルベルグの戦いは、ソルベルグのクラッシュで終止符
オジェとソルベルグの争いは最終日まで続いたが、より勢いがあったのは若いソルベルグの方だった。このラリーをラリー1車両で走るのが初めてだった金曜日こそ、オジェに8.9秒の差をつけられたものの、土曜日には6SS中5SSでオジェを上回り(残り1回は同タイムのベスト)、その差は3.8秒に。決着の日曜日も朝の2SSでベストタイムを叩き出し、オジェに2.2秒にまで詰め寄った。
残るは2SS。十分に逆転はあり得ると思われていたが、次のSS17でまさかのアクシデントが起きる。ステージ半ば過ぎでオーバースピードから姿勢を乱したソルベルグのGRヤリスは、そのままアウト側のガードレールに激しく激突。まさかのリタイアとなってしまったのだ。
これでオジェは楽になった。最終ステージを悠々と3番手タイムで終え、今季3戦目にして初勝利のフィニッシュに飛び込んだ。
ソルベルグのリタイアで2位に繰り上がったエバンスは、スーパーサンデー1位と最終パワーステージ1位を獲得。スタートからリズムに乗れず、ほとんどのステージでトヨタ勢の最下位に沈んだ4位の勝田をかわして新たなポイントリーダーとなった。

ソルベルグはジャンプで遠くまで飛びすぎて左側のガードレールにヒット。最終日、オジェを追い上げる中でのアクシデントでリタイアとなった。

ソルベルグのリタイアは残念だったが、それでも1-2-3-4フィニッシュを達成したトヨタ。チームは素晴らしいパフォーマンスを発揮し、ライバル勢を圧倒した。
次戦第6戦ラリー・ポルトガルは、5月7日〜10日、北部の古都ポルト近郊マトショニスを起点としたグラベル路面で開催される。(文:新村いつき)
2026年 WRC第5戦ラリー・イスラス・カナリアス リザルト
2026年 WRC第5戦ラリー・イスラス・カナリアス 結果
1位:S.オジェ(トヨタ GRヤリス ラリー1)2h43m18.9s
2位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)+19.9s
3位:S.パヤリ(トヨタ GRヤリス ラリー1)+1m40.8s
4位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)+1m51.2s
5位:A.フルモー(ヒョンデ i20N ラリー1)+3m29.5s
6位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20N ラリー1)+3m41.0s
7位:D.ソルド(ヒョンデ i20N ラリー1)+3m57.7s
8位:J.マカリアン(フォード・プーマ ラリー1)+5m45.4s
9位:L.ロッセル(シトロエンC3 ラリー2)+7m24.3s
10位:A.カション(トヨタ GRヤリス ラリー2)+7m49.4s
2026年 WRC第5戦ラリー・イスラス・カナリアス スーパーサンデー 結果
1位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)45m11.2s
2位:S.オジェ(トヨタ GRヤリス ラリー1)+2.0s
3位:S.パヤリ(トヨタ GRヤリス ラリー1)+50.1s
4位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)+50.1s
5位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20N ラリー1)+74.7s
2026年 WRCドライバーズランキング(第5戦終了時)
1位:E.エバンス(トヨタ)101
2位:勝田貴元(トヨタ)99
3位:S.パヤリ(トヨタ)72
4位:O.ソルベルグ(トヨタ)68
5位:A.フルモー(ヒョンデ)59
6位:S.オジェ(トヨタ)58
7位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ)35
2026年 WRCマニュファクチャラーズランキング(第5戦終了時)
1位:トヨタ 265
2位:ヒョンデ 167
3位:Mスポーツ・フォード 63




