欧州各地を走り込んで鍛えた足まわりが絶品
さっそく試乗を始めよう。ニスモ本社周辺の荒れた一般道を走ると、やや入力が大きく乗り心地が硬めに感じられたが、高速道路ではそれがちょうど良くなる。フラット感が高く、「選定に大いに苦労した」と開発者が語るタイヤもダンピングが効いていて、ベース車に比べても接地感はだいぶ上で収束も早い。
見てのとおり大径タイヤでバネ下が重く、さらにはホイールベースが短く、重心高の高いクルマのわりには、ピッチングもよく抑えられている。ややハードなコーナリングを試しても姿勢変化は小さく、内輪側もしっかりグリップしていて、良く粘るように感じられた。このあたりは、GTマシンのノウハウを採り入れたという空力の向上と、欧州各地を走りこんで鍛えた足まわりの賜物で、モータースポーツでの豊富なノウハウを持つニスモならではの乗り味だろう。
前述のようにエンジンのパワーアップはそれほど大きくなく、さらにはせっかくエンジン出力を上げてもCVTでは体感しにくい面があるのだが、若干速くなっていることは感じ取ることができた。軽やかに回り、目標速度までの到達時間が微妙に短くなっている。排気音はベース車よりも少し大きめで、野太いサウンドを放つ。

タイヤのダンピング特性に合わせてサスペンションを専用チューンし、フラットで気持ちのいい走りを実現した。
ステップATのような段付き感を与えたスポーツモードを選ぶとダイレクト感が増し、DCTとも遜色ないほどのフィーリングとなる。マニュアルシフトが7速とされているのもポイント。シフトダウンのレスポンスが良好だ。こうなると惜しいのはパドルシフトが付かない点で、ぜひ設定してほしい。加えてブレーキ。キャパシティを高める何らかのキットを選びやすい価格と内容で用意してくれるとありがたいところだ。
また、シートの良さも実感した。開発者もシートはとくに「自信作」と語っていたが、そのとおりの仕上がり。座った瞬間から自然と適正なポジションがとれる印象で、さらに着座感はソフトで、それほどタイトでもないのだが、ずっと心地良い包まれ感がある。おかげでコーナリングでも身体がぶれにくいし、ロングツーリングでの疲労感も小さい。
まずは期待どおりのパフォーマンスを披露してくれたジュークNISMO。もう少し快適性が高いとさらに良さそうだが、いずれにしてもこの価格でこの内容というのは、かなりのバーゲンプライス。
こういうクルマは欧州メーカーのほうが得意そうなイメージもあるが、ニスモブランドを冠した、身近にこんな魅力的なクルマが存在することを、ぜひ多くの人に知らしめたい。

エンジン本体はノーマルのままだが、ターボの過給圧を制御して、10psと10Nmのモアパワーを得ている。
日産 ジュークNISMO 主要諸元
●全長×全幅×全高:4165×1770×1570mm
●ホイールベース:2530mm
●車両重量:1400kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1618cc
●最高出力:147kW(200ps)/6000rpm
●最大トルク:250Nm(25.5kgm)/2400-4800rpm
●トランスミッション:CVT(7速マニュアルモード付き)
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●JC08モード燃費:12.6km/L
●タイヤサイズ:225/45R17
●当時の車両価格(税込):285万750円



