ロングストローク設計で、余裕のトルクを発生
目立った機構としては、DOHCエンジンを搭載した生産車では世界初の油圧ラッシュアジャスターを採用していたことが挙げられる。簡単に説明すると、もともとバルブとカムの接点にバルブの熱膨張を逃すため0.2〜0.45mmの隙間が設けられている。従来、この隙間は定期的に調整し、一定にしておく必要があった。これをタペット調整というが、6気筒など気筒数が多くなるほど手間が増える。

エンジン全体を見ると、カムシャフト直動式の動弁系のため、バンク角が大きい。2バルブの燃焼室は多球形で圧縮比は8.8となっている。
5M-GEU型は、ここを油圧式ラッシュアジャスターを採用することによって、スプリングと油圧で自動的に調整するため、このタペット調整が不要となるとともに、カムとバルブが接触するときの打撃音が軽減されるというメリットが生まれた。これによって事実上メンテナンスフリーで多気筒DOHCに乗れるようになったともいえる。
カムシャフト駆動はタイミングチェーンではなくベルトとした。これは高性能と同時に、高級車用のエンジンに求められる静粛性を高める役割を担っていた。燃料供給は電子制御式インジェクション(EFI)で行う。これによって吸気に対して必要な燃料をエアフローメーターで計測することなどにより電子的に管理し、どのような状況でも最適な空燃比に調整される。

バンクを駆ける2800GT。実際にはこういうシチュエーションはほとんどないだろうが、超高速走行でも余裕の動力性能を持っていた。
ところで、DOHCエンジンといえば、高回転まで回してパワーを絞り出すイメージもあるが、このエンジンに関しては必ずしも当てはまらない。バルブ直動式のカムシャフトで2バルブの多球形燃焼室ということもあり、圧縮比は8.8と控えめということもあるが、最高出力の170psを比較的低回転の5600rpmで発生する。
これからも明らかなように、中回転重視型だ。逆に考えれば、まだまだ余力があるところを、あえて抑え、低回転から高回転まで広いトルクバンドを確保したともいえる。そこはセリカXX 2800GTが、スポーツ性能だけでなく、高級車や上級スポーツカーをターゲットに開発されたことや、ATとのマッチングを考えた結果ともいえるだろう。
5M-GEUエンジン 主要諸元
●エンジン型式・種類:5M-GEU型・直6DOHC
●排気量:2789cc
●最高出力:170ps/5600rpm(グロス)
●最大トルク:24.0kgm/4400rpm
●内径×行程:83.0×85.0mm
●圧縮比:8.8
●燃料供給装置:電子制御燃料噴射式(EFI)
●使用燃料・燃料タンク容量:レギュラー・61L




