2011年12月、最高出力550ps/最大トルク680Nmという当時量販ジャガー史上最強のパフォーマンスを誇る「XKR-S」が日本に上陸した。その走りとともにジャガーならではのしなやかで上質な乗り味はどう実現されていたのか。今回は2012年に行われた国内試乗テストの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2012年6月号より)

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おとなしいジャガーのイメージを払拭する獰猛な雰囲気

我々のルーツはスポーツカーメーカーである・・・端的に言ってしまえば、そう明確にアピールするというのが、このところジャガーが推し進めているマーケティング戦略だ。そうした彼らの思いというのは、2006年に現行XKシリーズがデビューする以前と、デビューした以降の商品ラインナップを見比べれば一目瞭然だろう。

2007年発表のブランニューモデルであるXFは、ポジショニング上はSタイプの後継でありつつも、はるかにモダンでスポーティなルックスの持ち主だ。歴史ある名前を受け継いだXJに至っては、「そんな名前以外はすべてが新しい」という何とも大胆な変貌ぶりが最大の特徴になる。しかし、何よりもこのブランドが変わりつつあることを象徴するのが、日本でも昨年末より発売されている『XKR-S』だと言ってよい。

6速ATと組み合わされた5Lのスーパーチャージャー付きV型8気筒エンジンは、実に550psという最高出力を発生。流麗な基本プロポーションのオールアルミ製ボディが、スタート後に100km/hへ達するまでには、わずかに4.2秒しか要しない。

加えて、最高速は300km/hをマークときているのだから、これはもう「おとなしいジャガー」のイメージを払拭するためには十二分な存在だろう。いや、フード先端に薄く口を開くインテークが加えられ、カーボンファイバー製の各種空力パーツやレッドキャリパーのブレーキなどで「武装」したその姿には、もはや予想外に獰猛な雰囲気すら漂うのだ。まさに、「ジャガーのイメージチェンジ戦略、ここに極まれり」と感じさせられる。

実際、XKR-Sというモデルのキャラクターは、その心臓に火を入れた瞬間にさらに明確になる。ヴァンッ! という派手な雄叫びと共に目覚めたこのモデルの、リアバンパー下のカーボンファイバー製ディフューザー両脇にレイアウトされたクアッドテールパイプからは、アクセルペダルを強く踏み込むたびに「バリバリバリッ!」っと派手な咆哮が周囲へと響き渡る。と、まさにそれと同時に、グンッと背中がシートバックへと押される強い加速力が発生。ここは、メカニカルスーパーチャージャー付きエンジンならではのレスポンスのシャープさだ。

画像: 300km/hを実現するためにXKシリーズでは初となるセパレートタイプのリアウイングを採用している。

300km/hを実現するためにXKシリーズでは初となるセパレートタイプのリアウイングを採用している。

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