昭和を駆け抜けた和製スポーツモデルたち。その勇姿を、モーターマガジン社の70年以上にわたる取材記録や当時の写真を基に紹介しよう。今回は、S600の後継として1966年に登場した、ホンダ S800とその進化版のS800Mだ。

ホンダの名を世界でも売り込んだが、1970年に生産終了

日本国内では昭和41(1966)年5月にリジッドタイプを発売。それまではS600同様チェーンドライブのS800が市販されていた。一方、フロントは従来どおりのダブルウイッシュボーン/トーションバー独立懸架である。ブレーキは前後ともドラム式だが、前輪のディスクブレーキをオプション設定。欧米への輸出仕様ではこれが標準装備となっていた。ステアリング形式も従来どおり、ラック&ピニオンである。ホイールベースは2000mmでS600と変わらない。だが、全長3335×全幅1400×全高1215mmとなり、S600より全長が35mm、全高が15mm拡大している。

S800に進化して、ホンダのミニスポーツカーの人気はより確定的なものとなり、ヨーロッパでも評判が高かった。たとえば、モナコの故グレース王妃も愛用していたし、当時のマルセイユの市長もこれを乗り回していた。車両価格も発売当時(昭和41年)で65万8000円(クーぺは69万4000円)とリーズナブル。トヨタスポーツ800の59万5000円をやや上回ったものの、この両車が日本の草の根モータースポーツを盛り上げたことは改めて言うまでもない。

画像: S800は先代のS600とホイールベースは共通だが、全長は35mm長く、全高は15mm高められている。

S800は先代のS600とホイールベースは共通だが、全長は35mm長く、全高は15mm高められている。

ホンダのS500から始まるミニスポーツの系列は、昭和43(1968)年5月に最後のマイナーチェンジが行われ、最終型のS800Mとなった。S800Mはアメリカの安全基準に対応したモデルを国内向けに改めたもので、性能的には従来と変わりない。前輪のアネットタイプのディスクブレーキ、ブレーキ油圧警告灯の新設、ブレーキランプ/サイドマーカーの大型化などがS800Mの主な変更点である。

S800とS800Mは、国内でも海外でも、ホンダの名を大いに売り込むことに成功した。だが、Sシリーズは昭和45(1970)年7月をもって生産終了となった。S800シリーズの生産台数は1万1406台だった。

画像: S500から始まったホンダのミニスポーツの最終モデルとなったS800M。生産中止が伝えられると人気は再燃し、ファンは販売継続を願ったが、叶えられなかった。

S500から始まったホンダのミニスポーツの最終モデルとなったS800M。生産中止が伝えられると人気は再燃し、ファンは販売継続を願ったが、叶えられなかった。

ホンダ S800M 主要諸元

●全長×全幅×全高:3335×1400×1215mm
●ホイールベース:2000mm
●車両重量:755kg
●エンジン:直4 DOHC
●総排気量:791cc
●最高出力:70ps/8000rpm
●最大トルク:6.7kgm/6000rpm
●燃料供給装置:CVキャブレター×4
●トランスミッション:4速MT
●駆動方式:FR
●タイヤサイズ:145SR13
●当時の車両価格:75万円

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