文: 石橋 寛/写真: RM Sotherbys
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フェラーリのニュアンスを感じる色味、なかでも人気色はロッソ・コルサ
フィアット500はさまざまな限定モデルが登場しましたが、2010年のトリビュート・フェラーリ、すなわちフェラーリとのコラボレーションモデルには度肝を抜かれた方も少なくないでしょう。フェラーリはフィアット傘下ゆえ、さほど驚くものでもありませんが、「アバルトとフェラーリって縁もゆかりもないじゃない」と考えた方もいらっしゃるかと。
実は、今から70年ほど前に、フェラーリ166MMにアバルト製アルミボディを架装したワンオフモデルがあると、フィアットはアピールしています。ともあれ、フェラーリとアバルトのダブルネームの名に恥じない、魅力的なクルマであることは間違いなさそうです。

2010年、世界限定1696台、日本には150台が輸入されたアバルト695トリビュート・フェラーリ。国内では瞬殺で売り切れてしまったとか。
アバルト695トリビュート・フェラーリは、2010年に世界限定1696台で生産され、日本にも150台が輸入されました。ここで紹介している人気色のロッソ・コルサは110台(世界1199台)このほか、ジアッロ・モデナ(30台/世界299台)、ブル・アブダビ(5台/世界99台)、グリージョ・チタニオ(5台/世界99台)の3色がラインナップ。カラーの名前こそ違えども、色味はフェラーリのニュアンスが感じられるものとなっていました。

ロッソ・コルサはアバルトというより、フェラーリのそれに近いニュアンスで、2本のフラッシュは430スクーデリアを意識したコルサグレー。
ちなみに、トリビュート・フェラーリが発売される前年、「フィアット500アバルト・フェラーリ・ディーラーエディション」と呼ばれる限定車も生まれています。これは、名前の通りフェラーリが正規ディーラーの代車用に発注したもので、200台(左ハンドル140台/右60台)が納車されたとのこと。なんとも贅沢な代車ですが、フェラーリのオーナー達から続々と購入希望が寄せられ、これに応える形でフィアットが「似たような」限定車を生産したとされています。
排気圧でアバルトらしいサウンドに切り替わる

1.4リッターから180馬力までチューンナップされ、最高速は225km/hをマーク。タービンのアップグレードがその秘訣となりました。
このリッチなディーラーエディションをベースとしたというより、ほぼ同じ内容のカスタムというのがトリビュート・フェラーリの魅力。まず、1.4リッターのT-Jet 16vエンジンは180馬力以上にチューンナップされ、0-100km/h:7.0秒、最高速は225km/hと公表されています。ディーラーエディションの160馬力に対し、20馬力アップの秘密はタービンのアップグレードで、ギャレット・エアリサーチ製の高品位モデルに変更されているのだとか。
また、アバルトの代名詞ともいえるレコルト・モンツァ排気システムも大きな魅力。これはマニエッティ・マレリが開発した可変バルブシステムにより、排気圧(3000rpm以上)が高まるとバルブが自動で全開になり、サイレンサーをバイパスして4本出しのうちの2本がほぼ直管状態に切り替るという代物で、その音は昔日のアバルトそのもの。

フェラーリ430スクーデリアに寄せたデザインの17inホイール。ブレンボのキャリパーもチラ見せしてくれる逸品です。
さらに、パワーアップにともなった足回りのカスタムも見逃せません。前後205/40R17タイヤ、7.0J × 17inのホイール(OZ RACING)を装着し、コニのダンパーにアイバッハのスプリングという組み合わせ。無論、制動力も強化されており、ド定番のブレンボ、真っ赤な4ポッドモノブロックキャリパーがスポークの隙間から存在を主張。フェラーリ430スクーデリアにも似たホイールデザインと相まって、佇まいにはある種のオーラさえ漂っています。なお、パワーのあるコンパクトカーむけにピレリが作ったP ZERO NEROとの相性も抜群だと、海外メディアが報告しています。
使い倒せるホットハッチの魅力、3万ユーロならお買い得?

レザー、カーボン、そしてアルカンタラがリッチに使われたインテリア。メーターはビンテージ・フェラーリのデザインを意識したとか。
インテリアに目を向けると、クルマ好きが思わず目を細めるような仕上がり。シートはサベルトが作ったバケットシート(アバルト・コルサ)で、ブラックのアルカンタラで表面を覆い、背中側はカーボン調の地肌を見せるという凝り方。イェーガー製のメーターはビンテージ・フェラーリを意識したデザインとなったほか、カーボンやレザーがふんだんに使われ、とにかくノーマルモデルとはまったく違った仕上がり。ここにとどめを刺すのが限定シリアルナンバー入りのプレートで、サソリとフェラーリのロゴが所有感を満足させること請け合いです。

フェラーリ430スクーデリアに寄せたデザインの17inホイール。ブレンボのキャリパーもチラ見せしてくれる逸品です。
新車当時、国内での販売価格は569万5000円でしたが、こちらのオークション出品車両は高コンディションもあるのか3万~4万ユーロ(約555万~740万円)での落札が予想されています。限定車としてのプレミアもさほど高いものではなく、普段からガシガシ乗れるホットハッチとしては説得力ある値段ではないでしょうか。アバルトとフェラーリのダブルネームに加え、痛快なエキゾーストノートとともに走れる快感と考えたら、むしろお買い得といえるかもしれません。

センターコンソールで存在感を示すのが限定モデルを表すプレート。サソリのマークと、フェラーリのロゴがコラボというレアなデザイン。

トラモンターノ製バッグや、ロゴの入った車体カバーなど標準で付属する品々も、さすが、アバルトとフェラーリのダブルネームできわめてリッチ。




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