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最速アルピーヌを終盤のピットストップで逆転
レースの大半をリードしていたのは2台のアルピーヌだった。予選が雨でキャンセルされ、フリー走行のタイムでグリッドが割り当てられた決勝で、フロントロウからスタートしたアルピーヌの2台は、レース序盤から5時間にわたってほぼ完全にレースを支配していた。
しかし、残り1時間のところで発生したLMGT3車両の大クラッシュでセーフティカーが導入されると、状況は一変。アルピーヌの2台のリードがなくなり、全車がピットへ向かうなか、6番手を走行していた8号車トヨタが大きな賭けに出た。

序盤からアルピーヌの36号車と35号車が1-2を形成し、レースの大部分をリード。この日の最速は間違いなくアルピーヌだった。
8号車トヨタは「セーフティカーが長引く」と読み、タイヤ交換せず、燃料も必要最小限だけ補給する「ショートフューエル」を選択した。トヨタのタイトル争いにおける最大のライバルである15号車BMWもタイヤ無交換のままコースへ送り出した。一方、アルピーヌの2台は慎重な戦略を選択。36号車はタイヤ4本すべて新品に交換し、35号車は左側2本のみ新品タイヤを装着した。
この結果、アルピーヌ勢は後退。首位に8号車トヨタ、2番手に15号車BMWが浮上し、35号車アルピーヌは3番手、36号車アルピーヌは5番手までドロップしてしまう。

残り1時間の時点で導入されたセーフティカー。通常のピット戦略ではアルピーヌを逆転するのは簡単ではないと見たトヨタは、「セーフティカーが長引く」と読んで、タイヤを交換せず、給油をあえて少なくして、真っ先にピットアウトする作戦を敢行。
残り20分の最後の攻防、36号車アルピーヌの猛追も0.6秒届かず
クラッシュからおよそ40分後、残り20分でリスタートが切られると、8号車トヨタ(平川)と15号車BMW(ヴァントール)、そして35号車アルピーヌ(ミレジ)、36号車アルピーヌ(マルタン)の凄まじい優勝争いが始まった。
中でも最も勢いを見せたのが、4本とも新品タイヤに交換した36号車アルピーヌ(マルタン)だった。すぐさま4番手に上がると、チームメイトの35号車アルピーヌもオーバーテイク。15号車BMW(ヴァントール)をかわして2番手に浮上するまでには数周を要したが、2番手に上がると瞬く間に8号車トヨタ(平川)との差を縮めていった。
もはやオーバーテイクは時間の問題かと思われたが、ここから8号車トヨタ(平川)も粘る。平川は古いタイヤをコントロールして冷静に防戦し、最終的にはわずか0.591秒差で36号車アルピーヌ(マルタン)を抑えてチェッカーを受けた。
この勝利によって、8号車ブエミ/ハートレー/平川亮(トヨタ)はドライバーズランキングの首位へ浮上。「リスタートは本当に難しかったですね。コンディションが変化していて、少し濡れた路面を冷えたタイヤで走らなければならなかったから。リスタートの時、前に周回遅れのBMWがいたので、それを基準にできたのはラッキーでした。そして、すぐ後ろにはもう1台のBMWがいたので、アルピーヌをブロックする助けにもなりました。それでもプレッシャーがあったし、最後の2周は特にストレスが大きかったですよ。でもチームが素晴らしい仕事をしてくれて、どこでプッシュし、どこで守るべきかを常にフィードバックしてくれました。本当に感謝しています。残り2戦、今から楽しみです」シリーズ通算8勝目、そして日本ではふたつめとなる勝利を手にした平川はレースをこう振り返った。

トヨタ8号車TR010ハイブリッドはセバスチャン・ブエミが8番グリッドからスタートドライバーを務め、ブレンドン・ハートレー、そして平川亮とつないで6時間を戦った。
なお、3位には15号車BMWが入り、35号車アルピーヌは4位でフィニッシュ。5位には力強い走りを見せた38号車キャデラックが、6位には94号車プジョーがそれぞれ入賞を果たした。
マニュファクチャラーズランキングでは、フェラーリが1ポイントしか獲得できなかったため(51号車が10位)、トヨタとBMWが抜け出す形となってきた。
全8戦で争われる2026シーズンも、残りわずか2戦。開催を断念した中東の2戦にかわって、スペイン/バルセロナ6時間(10月16〜18日)、イタリア/モンツァ6時間(11月6〜8日)で開催され、チャンピオン争いはクライマックスを迎える。(文:新村いつき)
2026年WEC世界耐久選手権第6戦「富士6時間」 決勝
1位 8 トヨタ TR010ハイブリッド(ブエミ/ハートレー/平川亮)203周
2位 36 アルピーヌA424(マコウイッキ/グーノン/マルタン)+0.591s
3位 15 BMW M ハイブリッド V8(マグヌッセン/マルチェッロ/ヴァントール)+6.415s
4位 35 アルピーヌA424(ダ・コスタ/ミレジ/ハプスブルグ)+7.699s
5位 38 キャデラック VシリーズR(バンパー/ブルデー/エイトケン)+8.142s
6位 94 プジョー9X8(マルテ/ジャコブソン/プルシャール)+10.176s
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8位 7 トヨタ TR010ハイブリッド(コンウェイ/小林可夢偉/デ・フリース)+14.208s
2026年WEC世界耐久選手権ドライバーズランキング(第6戦終了時)
1位 ブエミ/ハートレー/平川亮(#8 トヨタ)89
2位 コンウェイ/小林可夢偉/デ・フリース(#7 トヨタ)79
3位 ラスト/フラインス(#20 BMW)75
4位 マグヌッセン/マルチェッロ(#15 BMW)69
5位 リンデ(#20 BMW)65
6位 ヴァントール(#15 BMW)63
7位 グイディ/カラド/ジョビナッツィ(#51 フェラーリ)59
2026年WEC世界耐久選手権マニュファクチャラーズランキング(第6戦終了時)
1位 トヨタ 169
2位 BMW 146
3位 フェラーリ 115
4位 アルピーヌ 96
5位 キャデラック 80
6位 アストンマーティン 64




