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その場で「e-Tune」の施工も行われた
イベントは、トヨタ(GR)とSUBARUのバックアップのもとで実施された。駐車場を含む会場には多くのGR86とSUBARU BRZのオーナー車両が並んだほか、カスタムパーツメーカーやショップもブースを出展。各社の製品や取り組みに触れられる展示エリアは、クルマを眺めるだけでなく、愛車のカスタムや今後の楽しみ方に思いを巡らせる場にもなっていた。
会場ではファン向けの催しや車両展示に加え、新旧86とBRZの競技車両などによるデモ走行も行われた。サーキットならではの走行シーンを間近に楽しめるのも、このイベントの見どころとなっていた。
展示やステージを見て回り、走行を観戦し、ブースに立ち寄る。来場者はそれぞれの関心に合わせて会場を巡り、1日を通して充実した時間を過ごしていた。
ここでは、イベントの話題の中からSUBARUに関わる内容を中心に振り返っていこう。

SUBARUを象徴するWRブルーの BRZも多数集結。こうして並べられると壮観な印象だ。
開発責任者たちから、改良&開発継続の心強い発言が放たれた
この日の催しの中で最も大きなトピックと言えるのが、オフィシャルステージで行われたトークセッションでの発言だろう。
壇上には、GR86のチーフエンジニアを務める坂本尚之氏、開発ドライバーの大嶋和也選手、そしてBRZの開発責任者である小林正明氏が登壇した。GR86とBRZの開発にまつわるエピソードが語られ、普段はなかなか聞くことのできない裏側に触れられる時間となった。オーナーやファンにとって、両車への理解を深める貴重な機会だったといえる。

GR86のチーフエンジニアを務める坂本尚之氏、開発ドライバーの大嶋和也選手、そしてBRZの開発責任者である小林正明氏が登壇し、ファンの前で開発にまつわるエピソードを披露した。
そのトークの後半に、司会者から86とBRZの”今後”についての質問が投げられた。
巷では生産終了のウワサも聞こえており、来場者もその回答を固唾をのんで待つ気配が感じられた。
現行モデルの行方は、愛車として乗り続けているオーナーだけでなく、これから購入を検討する人にとっても気になる話題だ。
坂本氏から「その件は小林さんから」と話の水が向けられ、小林氏は現在の開発状況について次のように説明した。
「(BRZは)6月に新モデル(タイプRAの後継)開発の発表があったように、今現在も企画・開発を鋭意進行中です」「初代モデルは8年(86は9年)生産しましたが、今の2世代目はまだ5年です。初代と同じ年数とは断言できませんが、まだまだ開発はやっていきたいです」と、具体的な生産期間が明言されたわけではないものの、小林氏の発言からは、現行モデルの開発に引き続き取り組んでいく意向が読み取れる。
GR86とBRZの生産終了を心配していたファンにとって、こうして開発を継続する姿勢が示されたことは心強い知らせとなったに違いない。

BRZの開発責任者である小林正明氏の口から、BRZ(とGR86)の開発継続が表明され、来場者に安堵の空気が流れた。
SUBARUはモータースポーツでも、SUPER GTと全日本ラリーにBRZをベースとするマシンを投入している。市販車の開発とモータースポーツ活動はそれぞれ異なるものだが、BRZの名前が競技の場でも使われていることは、ブランドや新型車両をブラッシュアップする活動を続けていくという意向と捉えられる。
今回の発言と合わせれば、少なくとも今後2〜3年は開発が続くと考えてよさそうだ。
小林氏の説明に続き、坂本氏からも「GRも何かやらないとですね。いや、実際にいろいろやっているんですけど・・・」とコメントがあった。短い言葉ながら、86とBRZをめぐる今後の動きに期待を持たせるひと幕だった。

GR86のチーフエンジニアを務める坂本尚之氏からも、開発に対する意気込みが発せられた。
両車ともまだ具体的なリリースのスケジュールは公表されていないが、ひとまずは競技を応援しつつ、その技術がフィードバックされるだろう新型車の発表を待ちたい。
また、その後に行われたトークステージでは、SUBARUのモータースポーツへの取り組みをテーマに、「SUPER GT」参戦チームの総監督を務める小澤正弘氏と、全日本ラリーに参戦している「Boxer Rally spec.Z」のハンドルを握る新井敏弘選手が登壇。
WRC参戦時代の出来事や、ラリージャパンでの苦労話など、それぞれが経験した貴重なエピソードを披露した。

「SUPER GT」参戦チームの総監督を務める小澤正弘氏と、全日本ラリーに参戦している「Boxer Rally spec.Z」のハンドルを握る新井敏弘選手が登壇し、貴重なエピソードを披露した。
こうして開発を担う人たちがステージに立ち、ファンの前で自ら言葉を届けていたのはとても有意義なことだと感じた。
スポーツカーは市場全体のなかでは限られたジャンルであり、それぞれのモデルを支えるには、クルマそのものの魅力に加えて、開発側とオーナーやファンとの継続的なつながりも大切になる。開発陣が今後の展望を語り、来場者がそれを直接聞けるこの機会は、メーカーとユーザーを繋ぐ確かな輪が感じられる場となっていた。
SUBARU展示コーナーでは、モータースポーツ参戦車両や新型車両の展示も
会場内のピットゾーンの一角、SUBARUの展示コーナーでは、モータースポーツ参戦中の車両や、旬の市販車両、そのカスタムパーツなどが展示され、トークステージに負けず来場者の注目を集めていた。
SUPER GTを走る「SUBARU BRZ GT300」は、大きな排気量のエンジンを搭載するFIA GT3勢に対向するため、水平対向6気筒2932ccのEG33改エンジンの搭載が最大のトピック。
パワーアップに伴い発熱量が増えるため、出力より冷却の安定化を重点的に進めていたが、それでも戦績を落とすことなく第4戦まで戦ってきた。小澤監督からは「5戦目で冷却安定の目処が立ったので、次のSUGO戦では期待してください」と心強いコメントをもらえた。
※このイベントの1週間後の9月20日に行われたSUGOでの第6戦では、予選2位、決勝3位でフィニッシュ。見事に有言実行を果たした。

2026シーズンから水平対向6気筒エンジンを投入しパワーアップが図られた「SUBARU BRZ GT300」。
その隣には、まだ発表時のインパクトが残っている、全日本ラリーに出場中の「Boxer Rally spec.Z」を展示。
悪路を走るため、FRのBRZを後付けパーツでAWDに変更。さらにNAのFA24型エンジンをターボ化するという魔改造が施された興味深い1台だ。
半年足らずという短い製作期間で発表が行われ、その数ヶ月後には実戦に投入されるという無茶なスケジュールだったが、さすがにドライブシャフト破損などのトラブルは出たものの、コンパクトな車体と短いホイールベース、そして低重心&マスの集中という強みが活き、新井選手のシュアーな運転と安藤選手(コ・パイロット)のサポートにより戦績は上々。
今後はトラブルの要素が減るのと反比例して車両のセットアップが向上していくと思われ、会場にいた新井選手からは「今後の活躍に期待してください」という、こちらも心強いコメントをもらえた。
※9月27日に行われた全日本ラリー第7戦「MSCCラリー in 福島伊達2026」では、マシンの高いポテンシャルが発揮されてハイペースで走行。しかし荒れ模様のコンディションの影響で、レグ1で不意のスピンを喫してしまう。復帰にあたりタイムペナルティを受けるが、その後のレグ2ではラリー2車両に割って入るSS4番手タイムをマークし、戦闘力の高さを実証した。

BRZをベースにAWD化してターボ仕様のFA24型エンジンを搭載するという"魔改造"を施して全日本ラリー選手権を戦っている「Boxer Rally spec.Z」。
その並びには、最も市販車に近い競技車両として、スーパー耐久のST-Qクラスを戦った「Team SDA Engineering BRZ CNF concept」を、そしてその隣には、2025年の10月に発売され、300台が即完売となった「SUBARU BRZ TypeRA」が展示されていた。

スーパー耐久のST-Qクラスを戦った「Team SDA Engineering BRZ CNF concept」。
「TypeRA」には、スーパー耐久を戦う中で開発・搭載された新技術「レブシンク&フラットシフト」が採用されている。これはコーナー進入時やストレートの全開加速時などの変速による加減速をより素早く、スムーズにつなげられるという制御技術で、モータースポーツと市販車が地続きだという今のSUBARUの方針を分かりやすく示す展示内容となっていた。

「Team SDA Engineering BRZ CNF concept」での知見による新技術が投入された「BRZ TypeRA」。
また、市販車の最新モデルとして、8月に最新の年次改良が行われた「F型」のBRZを展示。変更箇所は主に以下の3点。
① シフトレバー基部のゲートの5→4部分の角を削り、よりスムーズなシフトダウンができるように変更。プロドライバーからの要望を採り入れたマニアックな内容だ。
② エンジンの機構的に変更は無いが、欧州での環境騒音規制に対応するため、ストラットタワー部やカウルトップ部などに吸音パッドが追加装着された。
③ アイサイトのセンサーに広角単眼カメラを加え、交差点など低速時の検知角度の拡張が図られた。
BRZは「TypeRA」の後継にあたるモデルや、次の年次改良モデルへの開発も行われていると表明があったので、今後の展開に期待したい。

年次改良を受けて2026年8月に発売されたばかりの「F型」BRZを展示。
その場で愛車の走りが変わる!アップグレード体験&施工の機会
メイン会場から少し離れたショートコースを使って、アップグレードプログラム「e-Tune」の比較試乗会が行われていた。コースには、プログラムを施工した車両とする前の素の車両がそれぞれ用意され、ショートコース数周の試乗でその変化が体験できるというもの。

アップグレードプログラム「e-Tune」の施工前と施工後を比較試乗する様子。
体験走行の前には、SUBARUのスタッフによるアップグレードプログラムの内容と走行の注意の講習が行われる。

走行前の講習の様子。
比較試乗のあと、希望者にはその場でアップグレードの施工が実施される流れとなっていた。
このときは比較試乗に参加した人からひと組、三重県から参加のBRZ(2023)オーナーが「e-Tune」を購入。

実際に施工を行っているディーラーの専門スタッフの手によって、その場で「e-Tune」の施工が行われる。
決め手は、愛車のシフト時のレスポンス向上を公道で実感したいとのこと。この人は奥さんが同年式のGR86に乗っており、姉妹車との比較も合わせて楽しめるというから、うらやましい限りだ。
広大な会場に並ぶ車両や各社のブース、サーキットを走る競技車両、そしてステージで交わされた開発陣の言葉。その会場の様子を見ていると、86とBRZが多くの人に支えられていることを実感することができた。スポーツカーファンのひとりとして、今後登場する新モデルや両車の動向にも引き続き注目したい。

ピット裏に並ぶカスタムパーツメーカーなどの展示ブースの様子。




