2026年10月9日金曜日(現地時間)、F1第17戦シンガポールGPがシンガポール市街地のマリーナベイ・ストリート・サーキットで開幕する。F1グランプリは中東情勢を考慮してマレーシアで開催されたバーレーンGPから、休みなくシンガポールに移動。決勝はナイトレースとして行われるが、今年はスプリントフォーマットで開催されるのも注目点になる。

文:新村いつき
▶▶▶写真はこちら|前年の各車タイヤ戦略表ほか、2026年F1第17戦シンガポールGP【画像9枚】

アントネッリとラッセルのポイント差は84に拡大

前戦バーレーンGPイン・マレーシアでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが快勝。ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンは、序盤こそメルセデスの2台にリードを許したが、13周めには首位を奪還。その後、バーチャルセーフティカー(VSC)が導入され、さらにフルセーフティカーへ移行したことでリードが消滅する場面もあったが、最後はキミ・アントネッリ(メルセデス)の追撃を抑え切って勝利を手にした。

ドライバーズタイトルを争うメルセデスの2人は、アントネッリが2位を確保する一方、3番手につけていたジョージ・ラッセルはセーフティカーラン中に突然ストップして無得点となったため、両者の差は84点にまで広がった。

かわって表彰台に上がったのは、タイヤ選択の失敗で序盤に出遅れたルイス・ハミルトン(フェラーリ)。多くのライバルがインターミディエイトでスタートする中、ハミルトンはソフトタイヤを選択して出遅れるも、なんと31周にわたってソフトで走行して挽回、最終スティントを再びソフトで走り切ってチェッカーを受けた。

16戦めにしてようやく今季初勝利をあげたフェルスタッペンだが、メルセデス勢を圧倒というまでには至らず、シンガポールでもフェラーリ、マクラーレンを加えた4強の戦いが続きそうだ。

2026年シーズンは残り7戦が予定されているが、最終2戦、カタールGPとPアブダビGPの開催が不透明なだけに、そろそろタイトル争いが気になってくる。

画像: 前戦バーレーンGPイン・マレーシアでようやく今季初勝利をあげたレッドブルのマックス・フェルスタッペン。シーズンの流れを変えることはできるか。

前戦バーレーンGPイン・マレーシアでようやく今季初勝利をあげたレッドブルのマックス・フェルスタッペン。シーズンの流れを変えることはできるか。

画像: バーレーンGPイン・マレーシアGPの表彰台。キミ・アントネッリ(メルセデス)が2位に入り、チャンピオン争いでは無得点に終わったジョージ・ラッセルとの差をさらに広げた。

バーレーンGPイン・マレーシアGPの表彰台。キミ・アントネッリ(メルセデス)が2位に入り、チャンピオン争いでは無得点に終わったジョージ・ラッセルとの差をさらに広げた。

【参考】2026年F1第16戦バーレーンGPイン・マレーシア決勝 結果

1位 3 M.フェルスタッペン(レッドブル・RBPTフォード) 55周
2位 12 K.アントネッリ(メルセデス)+2.307s
3位 44 L.ハミルトン(フェラーリ) +4.919s
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+7.258s
5位 6 I.ハジャー(レッドブル・RBPTフォード)+8.571s
6位 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス) +9.454s
7位 30 L.ローソン(レーシングブルズ・RBPTフォード) +12.753s
8位 14 F.アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)+13.372s
9位 1 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+13.993s
10位 41 A.リンドブラッド(レーシングブルズ・RBPTフォード) +15.928
────────────
12位 18 L.ストロール(アストンマーティン・ホンダ)+18.052

【参考】2026年F1ドライバーズランキング(第16戦終了時)

1位 12 K.アントネッリ(メルセデス)320
2位 63 G.ラッセル(メルセデス)236
3位 44 L.ハミルトン(フェラーリ)214
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)191
5位 1 L.ノリス(マクラーレン)188
5位 3 M.フェルスタッペン(レッドブル)188
7位 81 O.ピアストリ(マクラーレン)128
8位 6 I.ハジャー(レッドブル)96
────────────
17位 14 F.アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)7
−位 18 L.ストロール(アストンマーティン・ホンダ)0

【参考】2026年F1コンストラクターズランキング(第16戦終了時)

1位 メルセデス 556
2位 フェラーリ 405
3位 マクラーレン 316
4位 レッドブル 298
5位 レーシングブルズ 90
6位 アルピーヌ 68

難しいコース設定が、スリリングで予測不可能なレースを演出

シンガポールGPが行われる舞台は、湾岸地区に特設される市街地コース。湿度は70%を超え、気温は24〜31度と高く、レース中のコックピット内は50度を超えると言われる。また天候の変化が激しく、昼夜を問わずいつでも雨が降る可能性があり、雷雨も珍しくない。赤道付近特有の断続的な降雨はグリップレベルに影響を与え、セッションごとにコンディションを変化させる。

その高温多湿な環境を少しでも避けるため、また欧州のゴールデンタイムに合わせるため、シンガポールGPは投光照明の下で行われるF1初のスペクタクルなナイトレースとして開催されている。

全長4.940kmに19のコーナーがレイアウトされたコース設定もエキサイティング。ランオフエリアが非常に少なく、少しでもラインから外れるとバリアが迫るためドライバーは常に緊張を強いられ、ストレート区間が短くオーバーテイクが難しいため、テールトゥノーズでの息もつかせぬ攻防が見られる。これはつまり、ドライバーがハンドルを握る手を休めている暇はほとんどないということにもなる。

シンガポールGPはこれまでに16回開催され、そのうち11回はポールポジションから優勝が決まっているが、これはレース中でのオーバーテイクが難しく、予選がいかに重要かを示している。優勝者が5番手以下から勝ち取ったのは初開催の2008年のみで、その時はフェルナンド・アロンソが15番手からスタートし、混乱した展開を経て優勝した。アクシデントによるセーフティカーやバーチャルセーフティカー、天候の変化によって、決勝でも想定外のことがしばしば起こるのだ。

加えて、スプリントフォーマットでの開催が戦い方をさらに難しくしそうだ。シーズン終盤を迎え、スプリントのポイントは重要度を増しており、決勝に向けて無理をすることなく、マシンをセィッティングしながら、できるだけ多くのポイントを稼いでおきたいところだ。

画像: 決勝はナイトレースとして開催されるので昼間より暑さはしのげるが、それでも高温多湿で、ドライバーにとっては過酷な条件であることに変わりはない。

決勝はナイトレースとして開催されるので昼間より暑さはしのげるが、それでも高温多湿で、ドライバーにとっては過酷な条件であることに変わりはない。

画像: 今年はスプリントフォーマットで行われるのも注目点。スプリントレースは夕刻17時スタート。シンガポールGPの新たな一面が見られそうだ。

今年はスプリントフォーマットで行われるのも注目点。スプリントレースは夕刻17時スタート。シンガポールGPの新たな一面が見られそうだ。

画像: マリーナベイ・ストリート・サーキットのコース図。全長4.940kmに19のコーナーがレイアウトされている。2023年に最終セクターへ施されたレイアウト変更によって高速区間が増加したが、ストレート区間が短くオーバーテイクが難しいため接近戦となることが多い。

マリーナベイ・ストリート・サーキットのコース図。全長4.940kmに19のコーナーがレイアウトされている。2023年に最終セクターへ施されたレイアウト変更によって高速区間が増加したが、ストレート区間が短くオーバーテイクが難しいため接近戦となることが多い。

昨年のシンガポールGPはメルセデスのジョージ・ラッセルが圧勝

昨年のシンガポールGPは、前夜の予選最終セッションでコースレコードをマークした速さをそのままに、メルセデスのジョージ・ラッセルがポールポジションから一度も首位を譲ることなくパーフェクト勝利を挙げた。

スタートの1コーナーを制すると、追いすがるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に対して1周につき0.5秒の差をつける圧倒的なスピードを披露。瞬く間にセーフティリードを築き上げる。

早めのタイヤ交換でアンダーカットを仕掛けるフェルスタッペンの動きにも落ち着いて対応、差を考えながらペースをコントロールする冷静な戦いぶりで、カナダGP以来のシーズン2勝目を挙げた。

一方、コンストラクターズ選手権は、マクラーレンのランド・ノリスが3位、オスカー・ピアストリが4位に入ったことで、6レースを残してマクラーレンの2年連続の戴冠が決定した。

画像: 昨年のシンガポールGPは、ポールポジションからスタートしたメルセデスのジョージ・ラッセルが圧倒的な速さを見せて優勝した。

昨年のシンガポールGPは、ポールポジションからスタートしたメルセデスのジョージ・ラッセルが圧倒的な速さを見せて優勝した。

画像: 昨年のシンガポールGPのタイヤ戦略。チームとドライバーのタイヤマネジメント能力が向上し、ミディアムタイヤで50周、ソフトタイヤで38周もの周回が可能になり、ほぼ全てのドライバーが1ストップで走り切った。

昨年のシンガポールGPのタイヤ戦略。チームとドライバーのタイヤマネジメント能力が向上し、ミディアムタイヤで50周、ソフトタイヤで38周もの周回が可能になり、ほぼ全てのドライバーが1ストップで走り切った。

【参考】2025年F1第18戦シンガポールGP決勝 結果  

1位 63 G.ラッセル(メルセデス)62周
2位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダRBPT)+5.430s
3位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス )+6.066s
4位 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)+8.146s
5位 12 K.アントネリ(メルセデス))+33.681s
6位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+45.996s
7位 14 F.アロンソ(アストンマーティン・メルセデス)+80.667s
8位 44 L.ハミルトン(フェラーリ)+85.251s
9位 87 O.ベアマン(ハース・フェラーリ)+93.527s
10位55 C.サインツ(ウイリアムズ・メルセデス)+1L
────────────
11位 6 I.ハジャー(レーシングブルズ・ホンダRBPT)+1L
12位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダRBPT)+1L
15位 30 L.ローソン(レーシングブルズ・ホンダRBPT)+1L
ファステストラップ 44 L.ハミルトン(フェラーリ)

タイヤを供給するピレリは「シンガポールでは昨年と同じコンパウンドを用意します。ハードがC3、ミディアムがC4、ソフトがC5 です。決勝レースは夜間に行われ、路面温度は30〜35度の範囲になります。この条件でタイヤは大きなオーバーヒートの懸念もなく、適正な作動温度領域で機能すると考えられます。ピットレーンで失う時間が大きいことに加えグレイニングや摩耗がレース戦略上の大きな制約になる可能性も低いことから、戦略面では今回も1ストップが有力な選択肢となるでしょう。その上で、セーフティカーなどに対応して、柔軟に戦略を変更していくことになるでしょう。決勝レースではハードとミディアムが基準になると予想されますが、最新のF1マシンは柔らかいコンパウンドを以前よりうまく活用できるようになったため、今年はソフトをより積極的に使用するチームも出てくるかもしれません。土曜日のスプリントではソフトタイヤが使用されても驚きではありません」と分析している。

画像: シンガポールGP開幕を前に、ピレリが公開した分析データ。

シンガポールGP開幕を前に、ピレリが公開した分析データ。

さて2026年はどんなレースとなるのか。第17戦シンガポールGPは10月9日16時30分(日本時間17時30分)から始まるフリー走行で開幕。スプリントレースは10日17時(日本時間18時)から、決勝は11日20時(日本時間21時)から行われる。

2026年F1第17戦シンガポールGP タイムスケジュール

フリー走行:10月9日16時30分〜17時30分(日本時間17時30分〜18時30分)
スプリント予選:10月9日20時30分〜21時14分(日本時間21時30分〜22時14分)
スプリント(21周):10月10日17時〜18時(日本時間18時〜19時)
予選:10月10日21時〜22時(日本時間22時〜23時)
決勝(62周):10月11日20時〜(日本時間21時〜)

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