文:飯嶋洋治
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美しいスタイルとミッドにV12を搭載したという強烈なインパクト

高速道路をクルージングするカウンタック。ギアリングの関係から5速を使う回転域に持っていくのは難しい。
国産車にもいわゆるウエッジシェイプと表現されるクルマはあるが、このランボルギーニカウンタックほど極端な例はない。ベルトーネは文字通り「クサビ」をまず原画に描いてその中に必要なものを当てはめていった感じさえする。したがってシャープエッジからほとんど一直線に延長されたウインドシールドがもっともこの特色を表わしている。サイドラインにいたっては、ノーズからテールまで斜線を引いたという感じ。この極端な表現が視覚的に「速さ」を出していることはいうまでもない。誰が見たって速く見える。

V12DOHCユニットは、一般的な縦置きミッドと異なりトランスミッションが前側にくるレイアウト。
だが、このカタチと実用性との妥協では異例の苦心をしている。まず最大の特徴は前ヒンジで上方々に開く両ドアだ。NACAダクトの陰にあるボタンを押すと、ドアはそのまま上に上る。油圧ダンパーのカウンターバランスで予想よりこの上下動は軽く、少し慣れるとオーナーは不自然さを感じなくなる。
タイトな室内に乗り込んでからは車内騒音との戦いも
さて、この全高107cmの低い車のコックピットにもぐり込むのは熟練を要する。まずルーフの一端をつかみ、それから右足を深く入れ、ヒップを落してから左足をかかえ込む。この際に張り出したホイールカバーの内貼を汚さなければオーナーになる資格がある。バケットシートは前後調整しかなく、きめられた姿勢で坐ることになる。スチュアートワーナー製のメーター類は径も目盛も細かすぎ、とても超高速で読みとれるものとは信じがたい。また平面ガラスのための反射も見逃せない。

乗り込むためには、ルーフの一端をつかみ、右足を深く入れ、身体を入れてから左足を…という作法が必要だ。
実際に路上を走ってみての感触だが、まず特異な視界に慣れることが先決である。前方から真横までの視界は良好というべきだろう。ただし、当然のことながら、フロントノーズはまったく視界に入らない。この点で私は超高速でも何かボディの一部が見えたほうが運転しやすいと考える。高速道路ではともかく、ワインディングロードに入ったら大きな差が出る。ステアリングに関してはロックtoロックが3回転とダルなのでそれほど神経を使わないですむ。むろん超高速時の反応はシャープだが、手に力が入るほどの反力はないので扱いやすいほうである。
気になるのは、この種のエキゾチックカーの中でもっとも車内騒音が高いことだ。マフラーはオリジナルより強化され酸化触媒も通っているため排気音そのものは普通と等しい。ところが、走行中にエンジンの排気衝撃音がまともに伝わり、さらにちょうどシート後下に位置するミッションの音が遮断しきれないで入ってくる。この車を高速でとばしながら会話をすることはよほどの大声の持主に限られるようだ。

ベルトーネのチーフデザイナー時代のマルチェロ・ガンディーニが思うがままデザインしたように見えるリアビュー。SF的なスタイリングと言える。
排出ガス規制によって絞られたパワーが残念…
エンジンについてだが、8000rpmまで許容されるミウラ以来の4リッター、V12エンジンは日本の路上でのCO規制に対応するため、触媒を付けられたことにより、パワーがさらに絞られた感じだ。つまり、もともとこの車の得意ではない4000rpm以下で完全にストールするトルクの谷ができてしまい、3000rpmからの立ち上がりでとまどう。
クラッチが異常に重く、ゲートに切られた5速も、当日は2速が低回転でシンクロ不調のため本質的なカウンタックの評価とはなり得ないかもしれないが、この車のオリジナルそのままでも日本の道路で使うかぎり、設計者の予期しない部分を酷使しなければならない一台である。(文:池田英三)※この記事は抜粋です。詳しくは『SUPERCAR IMPRESSIONS Chronicle(モーターマガジン社)』をご参照ください。
ランボルギーニカウンタックLP400主要諸元
●全長×全幅×全高:4140×1890×1070mm
●ホイールベース:2450mm
●車両重量:1320kg
●エンジン:60度V12気筒DOHC
●排気量:3929cc
●最高出力:375ps/8000rpm
●最大トルク:36.8kgm/5500rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:MR


