ワゴンRでターボ車は「スティングレー・ハイブリッドT」グレードだけ
2017年2月に登場した新型ワゴンR。2012年に発売された先代ワゴンRもそうだったのだが、新型もターボエンジン搭載車を選ぼうとすると「スティングレー・ハイブリッドT」グレードを選ぶほかにない。FZの顔やFXの顔でターボモデルを・・・という願いは叶わない。
ということで、乗ったのはFFのワゴンRスティングレー・ハイブリッドT。
NAエンジン+モーター搭載の新型ワゴンRハイブリッドFZの試乗記は、こちら。
とにかくこのスティングレー・ハイブリッドT、装備が充実している。軽自動車初となるヘッドアップディスプレイやステアリングのオーディオスイッチ、クルーズコントロール、デュアルセンサーブレーキサポートなどなど、とにかくあらゆる装備が標準で装着されている。ただし、車両価格は165万8880円。これに全方位モニター付きメモリーナビが14万0400円、ほかにフロアマットなどオプションが入り、試乗車の価格合計は186万2838円となっていた。
高速走行は、軽自動車とは思えない走り
ハイブリッドTで、とくに良かったのはやはり高速での走りだ。本線の合流もターボ車らしく非常にスムーズに行えるし、中間加速も遅れ感がない。
首都高などでの段差乗り越えも、ボディ剛性が高くなったせいか、とてもまろやか。一般道ではちょっとザラッとした硬い感覚もあったが、高速ではとてもしっかりとクルージングできる。
ワインディングも“スポーティ”に楽しめる
CVTながら、このハイブリッドTはパドルシフトが付き7速マニュアルモードでも楽しめる。ワインディングではこれを用いてスポーティな走りも楽しむことができる。スティングレーはノーマルのハイブリッドFZよりもステアリングギア比がクイックなイメージなので、そこもスポーティ感の演出に寄与している。
ちょっとした速度でコーナーに入っても、そこはゆっくりとしたロール感だから、グラッと不安定になることはない。トールワゴンのような重心の高さは感じない。
とは言え全高は1650mmあるので、やっぱりそこはアルトワークスのようなストイックなスポーツ走行は難しい。ワゴンRは、そういった意味でも、軽自動車の「ど真ん中」にいるモデルなのだ。
新型ワゴンRを買うならNAか、それともターボか?
ということで、この表題の問いに答えるときが来たが、正直これはもうユーザーの使い方によると思う。高速走行を多くする人は、ターボモデルがいい。加速感も遮音も乗り味も、ちょっと前のAセグメントくらいの感覚。軽自動車を運転しているというよりも、ひとクラス上の走りの質感を持っていると言い切れる。
ただし、街乗り中心の人は自然吸気のハイブリッドモデルがオススメ。ちょっとした加速時、モーターの力を借りることで「線の細さ」を感じることはないし、何よりも燃費に優れている。ちなみにスティングレー・ターボTは、今回200kmくらい走行して実燃費は19km/L弱だった。
スティングレー ハイブリッドT試乗 まとめ
新型ワゴンR、走りの質感が大きく向上した。これは先代オーナーなら、ちょっと走れば気づくくらいの進化と言える。クラスを超えた走り、と言い切れる。
軽自動車という規格の中で、これほど走りや燃費、質感を進化させてきたことは、並大抵のことじゃ難しいことだと思うし、それをやってのけた開発陣の熱意にはアタマが下がるところだ。
車両価格の165万8880円・・・も、安全/快適装備テンコ盛りだということを考えれば、そして他社モデルと比べてみても、そんなに高いわけではない。今や、オプションを含めたら200万円を超える軽自動車なんてザラだし、こういった軽自動車のニーズがあることも知っている。
されど、165万8880円。正直に言おう。スイフトRSの169万1280円、イグニスMZの164万1600円、バレーノXTの161万7840円・・・ということを考えると、やっぱりクルマとして、それらの小型車も選択肢に入れたくなってしまう。とくに最近のスズキの小型車は、相当デキが良いだけに、だ。
主要諸元
スズキ・ワゴンRスティングレー ハイブリッドT
●全長×全幅×全高:3395×1475×1650mm
●ホイールベース:2460mm
●車両重量 800kg
●エンジン:直3ターボ 658cc
●最高出力:64ps ●最大トルク:98Nm
●モーター出力/トルク:3.1ps/50Nm
●タイヤサイズ:165/55R15
●車両価格:165万8880円