軽量・高剛性の新開発
プラットフォーム採用
デジタル技術の集合体である新型NSXに対して、オーソドックスな技術の磨き込みで速さを追求するシビックタイプR。今回、ジュネーブショーで発表された新型タイプRは、まさに正攻法で新たな高みへと技術を昇華してきた。
まずはボディ&シャシだ。今回はおなじみのセンタータンクではなく、オーソドックスなリアタンクの新開発プラットフォームが採用されている。先代までは、まずはじめに基準車の開発から始まり、途中からタイプRの開発が始まっていた。
一方、新型タイプRにおいては、基準車と同時に開発がスタートしている。つまり新型シビック・シリーズは、当初からタイプRに求められる要件を盛り込んで開発されているのだ。つまり、タイプRを開発するにあたって重量増につながるガゼットを追加したりする必要は最小限に抑えられている。ちなみにホワイトボディの重量は先代よりも大幅に軽くなる一方、剛性は38%もアップしている。
このプラットフォームの恩恵は、軽量化や剛性アップだけではない。リアサスペンションが、先代のトーションビームに代わり新たにマルチリンクになった。先代のロードホールディングもリアがトーションビームと思えないほど高かったが、こんどのタイプRではそれを大きく凌ぐ追従性とグリップが期待出来そうである。
GTカー的な乗り味を
実現する新モード採用
そして注目したいのが『乗り心地』だ。いまやタイプRと言えども、ガチガチの乗り味を我慢する時代ではない。新たに設けられたドライブモード「コンフォート(Comfort)」は、従来の「スポーツ(Sport)」と「プラスR(+R)」に加わった新たなタイプRの乗り味を実現する。それが可能になったのも、キャパシティに十分な余裕のある新開発プラットフォームが生み出す余裕なのだろう。
もちろん、だからと言って今までの「タイプR」らしさが失われたとは思わないで欲しい。むしろ、Rらしさはより研ぎ澄まされていると考えるべきだ。
シャシの余裕は、さらなるニュルラップの短縮となって現れるだろう。ちなみに今回のショーでは、ニュルのタイムは公開されていない。というのも、昨年秋に予定していたタイムアタックは悪天候のために中止となってしまったからだ。開発陣はニュルの雪解けを待って、万全の体制で臨むという。
もちろん、狙うのはニュルFF最速だ。先代モデルでは、さして間を置かずVWゴルフGTIのスペシャル仕様によって記録を塗り替えられてしまった。今回はその雪辱も兼ねて、そうそうにライバルが追いつけないタイムを狙っているという(10秒以上短縮するのが目標というウワサも…)。
この新型シビックタイプRは、日本では7月後半(27日前後?)に正式発表される。今回から台数限定車ではなく、カタログモデルとして継続販売されるのもニュースだ。生産は先代同様、イギリスのスウィンドン工場が担当する。ボディカラーはおなじみにチャンピオンシップホワイトほか4色が導入される予定。気になる価格は、先代モデルとさほど変わらないと予想するが果たして…?