ルノー・ルーテシアってどんなクルマ?
日本で「輸入車コンパクトカー」といえば、何といってもフォルクスワーゲンのゴルフとか、ポロとかを思い浮かべる人も多いだろう。
でも、ヨーロッパではこのクルマ、スゴい人気なのだ。なんたってヨーロッパでの販売は1位ゴルフに次いで2位(3位はVWポロ)。ということは、Bセグメントモデル(ヴィッツとかフィットとかのクラス)ではヨーロッパでナンバーワンなのだ。ちなみに、フランス国内においては7年連続して販売台数1位となっている。昨年2016年は、全世界で40万8000台を販売している。
ちなみに、今回のルーテシア・マイナーチェンジの概要は以下のとおり。
ポップな色合いだがオトナの雰囲気もあるインテリア。
試乗車のボディ色、ルージュ・ドゥ・フランスメタリックを選ぶと、室内は赤/黒内装を選択できるが、この赤内装はクルマのキャラクターと合っている。
カードキーをセンターコンソールに挿し、プッシュボタンでエンジンを始動、スタートする。
力強さすら感じるその走り。シートの座り心地は上々だ。l
搭載されるエンジンはH5F型1.2L直4ダウンサイジングターボ。カングーやメガーヌなど、最近のルノー車によく用いられるパワートレーンだ。ただし、ここには今回のマイナーチェンジで手を加えられてはいない。
このエンジン、Bセグメントで軽量なルーテシアを動かすには十分すぎるほどのパワー/トルク(118ps/205Nm)があり、その走りは力強さすら感じるほどだ。
トランスミッションはダブルクラッチ式の6速EDC。首都高の渋滞などの停止〜微低速時に、ダブルクラッチ式トランスミッション特有の、ちょっとしたギクシャク感は残るものの、スピードが乗ってしまえば何の不満もない。シフトノブを左に倒せば、押してシフトダウン、引いてシフトアップのマニュアル変速も可能だ。
シートはルノー車らしく厚みがあり、それも芯がしっかりしているので、乗り心地は素晴らしいの一言。お世辞ではなく、もうずっと乗っていたくなるフィーリングだ。
カタログ燃費はJC08モードで17.4km/Lと、ハイブリッドモデルの多いこのクラスの日本車に比べるとたいしたことはない。だが、ひんぱんにアイドリングストップが作動することもあり、取材時には燃費走行を意識しなくても、カタログ数値と同じくらいの燃費をたたき出したことを報告しよう。
乗ってみると、「さすがヨーロッパでベストセラーBセグだけのことはある」と納得する1台だ。日常のちょっとしたドライブでも、なんとなく華やかに感じさせるのは、さすがフレンチモデルだと感心する。
惜しい・・・じつに惜しい。
ひとつだけ、ただひとつだけ言いたいのは、センターコンソールにある7インチタッチスクリーンのこと。
これは、ラジオのコントロールやBluetooth設定、エコ情報など多彩にできるインフォシステムなのだが、ここにあるカーナビが使えないのだ。
いや、GPSは取れているし、「ナビ」のアイコンも存在する。でも動かない。その理由は、ナビが「tomtom」社製で、そもそも日本の地図データが用意されないから。
もちろんこのユニットを外せば、市販の2DINナビをインストールできるし、もっといえばルノー車専用アプリの「R&Go」アプリを使ってBluetoothでペアリングすれば、手持ちのスマホで「車両情報」「メディア」「電話」「ナビゲーション」機能が使えるようになる。
でも、市販ナビはオプションで、プラスの値段を払わなきゃいけないし、スマホの設置はクレードルを使わないとならないので、見た目にスマートじゃない。
もともと地図データがないわけだし、それはルノージャポンがどうこうできることではないから、仕方がないっちゃ仕方がないのだが、7インチタッチスクリーンが良い感じだけに、それだけはやはり気になってしまうのだ。
(文:ネギシマコト/写真:小平 寛)
ルノー・ルーテシア インテンス主要諸元
全長×全幅×全高=4095×1750×1445mm
ホイールベース=2600mm
車両重量=1220kg
JC08モード燃費=17.4km/L
エンジン=直4DOHCターボ・1197cc
最高出力=118ps/5000rpm
最大トルク=205Nm/2000rpm
トランスミッション=6速EDC(DCT)
車両価格=229万円