100%電気自動車の「BMW i3」は、BMWのサスティナブル・モビリティの象徴である。さらにBMWらしい“駆けぬける歓び”の新しい姿として世界中で認知されているのだが、そのクルマに元ラリードライバーにラウノ・アルトーネンが乗ると、まるでラリーカーのようになってしまうのだ。
もっと踏め、もっと速く走れ!
あれはたしかMINIクロスオーバーのプロトタイプの国際試乗会に参加したときだったと思う。メニューの中にクローズドコースでの試乗が用意されていた。そこで特設コースを数周走ったところで
止められ、「運転を代われ」と言われたのである。それはなんと元ラリードラーバーのラウノ・アルトーネンであった。
往年のミニ使いに「代われ」と言われ、素直に従った私は助手席に移動。そしてまったく衰えることの知らないその運転テクニックを特等席で見ることができたのだ。なんとも貴重な体験であった。
数周後、また「代われ」と言われ、今度は私が運転することに。するとラウノ・アルトーネンは助手席に座ったのである。つまりオレの運転を参考にして君も運転してみなさい、ということだ。
少しだけ緊張しながら、走り出すと、助手席から「もっと踏め、もっと速く走れ!」という声が。そんな指導の中、周回を重ねると私は最初よりもMINIの運転が上手くなっていく、気がしたのだった。以来、私はラウノ・アルトーネン先生、と密かに呼んでいる。
前置きが長くなったが、ラウノ・アルトーネン先生がピュアEVのBMW i3を運転するとやはりラリー車になってしまうようだ。それにしても先生、お元気そうでなによりです。