2007年のデビューからあと半年で丸10年が経過する日産GT-R。いまだに世界で五指に入る高性能スーパーカーとして君臨しているのは驚異でもあります。そんなGT-Rの高性能を支えているのが、独自の理論によって生み出された優れたパッケージングです。さて、生みの親である開発総責任者・水野和敏氏が考案したGT-R専用のパッケージングは、なんと呼ばれているでしょうか?
GT-R専用パッケージングの呼称は何?
正解は2)のプレミアム・ミッドシップパッケージです。非常に高度かつ従来の方法論にとらわれないユニークな発想であったため、一部に誤解を生じることもありましたが、この理論がいかに優れていたかは、10年たった現在でも色あせないそのパフォーマンスが如実に物語っています。
このパッケージングの骨子は、4輪にいかに荷重をかけるか、どれだけのグリップ力が必要かということをすべてに最優先したところにあります。
GT-Rの開発では、まずリアタイヤに必要なグリップ力を決めることから始まったといいます。そのために、リアタイヤに大きな荷重が加わるようトランスミッションを後方に配置する、つまりトランスアクスル方式を採用しました。トランスミッションは徹底的に扁平化し、重心位置を後車軸よりも低く設定されています。この重量とクルマの慣性力が、走りの要ともいうべきリアタイヤのグリップ力を生み出すべく機能するのです。
次は、限界域までニュートラルステアを保ち、ブレーキング時にも車両姿勢をフラットに保つために必要なフロントタイヤのグリップ力と荷重を割り出し、そのための前後の最適重量バランスと重心位置が決定されました。
最後に、重心位置を前車軸より後方に置いたフロントミッドシップを実現するために、前後長の短いV6エンジン+ツインターボという形式が選ばれました。このエンジンの重量がフロントタイヤの強力なグリップ力の源となるのです。
GT-Rが登場したとき、多くの専門家が「重すぎる」と指摘しましたが、これは軽くすることができなかったからではなく、目標とする性能を発揮するために必要なタイヤのグリップ力を引き出すために計算し尽くされた重量なのです。
1)のFMパッケージは、プレミアム・ミッドシップパッケージの前身ともいうべきパッケージング理論です。FMはフロントミッドシップの略で、考案したのは前出の水野和敏氏です。フロントミッドシップに搭載したV6エンジンを核として、ロングホイールベース採用による重量物のホイールベース内配置、大径タイヤによる適切な接地荷重の確保などにより、従来総反すると言われていた操縦性能と快適な乗り心地を両立しています。スカイライン、フーガ、フェアレディZなど、現行日産FR車に採用されています。
3)4)が違うのはわかりますよね?