
1989年のシカゴモーターショーで発表されたNS-X。
初代NSXが最初に世に出たのは、1989年のシカゴモーターショー。この時に「NS-X」という車名で発表されました。そして 1990年9月に「NSX」として正式発表されました。

初代 NSX。基本的なデザインはプロトタイプの NS-X と同じだが、フロントバンパーなどの意匠が異なる。

広いグラスエリアは 311.8° という広さの水平方向の視界を実現。
総アルミボディの採用で車両重量は1350kg(5速MT)〜 1390kg(4速AT)に抑え、当時の自主規制枠いっぱいの最高出力280ps/6800rpm(4速ATは265ps/6800rpm)、最大トルク30.0kgm/5400rpmを発生するC30Aエンジンをリアミッドに搭載していました。グレードはモノグレードで、5速MT、または4速ATが選択できました。

オールアルミのモノコックボディの重さは210kg。スチールを使った場合よりも140kgの軽量化を実現。

リアミッドに横置きされたC30A・水冷 V型 6気筒エンジン。
このモデルの特徴は単なるスパルタンなスポーツカーではなかった、という点です。当時、NSX と比較されたフェラーリやポルシェは走ることを優先し、その車内は決して快適なものではありませんでした。ところが、NSX はスポーツカーにふさわしい操縦性、操作性はもちろん、高級車のようなしつらえと快適装備を備えている点が、それまでの高性能スポーツカーとは大きく異なっていました。4速AT を設定していた点もこのことを表しています。さらに、311.8°という極めて広い水平方向の視界確保した点や、154L(VDA方式)の独立したトランクルームを備えるなど、ドライバーにフレンドリーなスポーツカーだったのです。

それまでの欧州のスポーツカーとは異なり、乗用車ライクなインパネデザインを採用。

電動調整機構を備えた本革シートを採用するなど、快適性も高かった。

ボディ後端に配置されたトランクルームの容量は 154L(VDA方式)を確保。
ちなみに、初めてタイプRが設定されたのも NSX(前期型)でした。後期型ではNSX-Rと名前を変えます。さらにスーパーGT・GT500クラスのホモロゲーション取得のために、NSX-R GTというモデルも 5台限定で受注販売され、その価格は現行型のNSXよりもはるかに高い 5000万円でした。

ホンダ史上最初のタイプ R「NSX type R」。

ステアリングやシフトノブは NSX type R 専用品を装備し、ベーシックな NSX とは雰囲気が異なる。

NSX type R にはシートはレカロ社と共同開発したフルバケットシートを装備。

NSX type R のエンジンには、クランクシャフトのバランス精度向上、ピストン/コンロッドの重量精度向上などの手が加えられている。

こちらが NSX-R GT。ノーマル比で全長は+180mm、全幅は+90mmも拡大されている。

ルーフに飛び出たガーニッシュに加え、 NSX-R GT 専用品のサイドエアインテークも装備。
初代 NSX は 2005年12月をもって生産を終了しました。約15年という長いモデルライフの中で 1万8000台以上が生産されました。ただし、初代 NSX は2005年の生産終了ですべてが終わったわけではありません。生産終了後、ホンダは初代 NSX 向けの「NSXリフレッシュプラン」を用意しました。生産終了から10年以上が経過した今でも初代 NSX は現役で走れる、生きたスーパーカーであり続けているのです。