2代目A5は新型A4の登場を待ってのフルモデルチェンジとなった
2007年のジュネーブオートサロンでワールドプレミアされた初代アウディ「A5クーぺ」は、従来のFFモデルでは考えられないロングホイールベース&ショートデッキのパッケージで衝撃的デビューを飾り、その後に登場した先代A4の大成功への道筋をつけたエポックメイキングなクルマだった。
そしてその美しいスタイリングと鮮烈な走りをベースに、ソフトトップのオープンドライブの魅力を加味した「A5カブリオレ」が登場、「A5クーぺ」以上のエレガントさでアウディのブランド価値をさらに高めることになる。また、クーぺやカブリオレの持つ贅沢な装いに実用性をも兼ね備えたモデルとして誕生した「A5 スポーツバック」は“A5の人気”を不動のものとし、A5はアウディを代表するモデルにもなった。
初代A5クーぺ登場から9年、人気モデルであるがゆえに世代交代のタイミングは遅れ、2代目は新型A4の登場を待ってのフルモデルチェンジとなった。
2代目はまずクーぺが2016年6月にワールドプレミアされた後、続いて201 6年9月にスポーツバック、2017年2月にカブリオレと、矢継ぎ早にワールドデビュー。日本には4月4日に3モデルが一気に上陸となった。ただしカブリオレはまだ欧州でデリバリーが始まったばかりで、日本での販売開始は7月下旬以降となりそうだ。
A5ファミリーが持つ個性はアウディの魅力そのもの
新型A5ファミリーに共通して言えることは、初代モデルの「美しさとスポーティな走り」にさらに磨きをかけ、躍動感を強調していること。一見変わり映えしないように見えるが、比べると大きく異なっており、ワイドで堂々たる佇まいもあって、A4よりも上に位置するというスタンスがさらに明確になった。
メカニズム的には、モジュラープラットフォームMLB EVOの採用で、ボディを大型化しながら高剛性と軽量化という難題をクリアしていることに注目。トラフィックジャムアシストやアクティブレーンアシストなどを採用し、加減速だけでなく同一車線内のステアリング操作まで行うなど、将来の自動運転実現に向けた技術をまた一歩進めている。もちろんR8やQ7など幅広い車種に展開されているバーチャルコックピットも設定している。
基本構造はA4モデルを踏襲するが、さらに豪華に、エレガントに、上質に、スポーティにというのが、このクルマの狙いというわけで、それゆえ新たなテクノロジーを惜しむことなく投入できるという側面もある。
それでもこれだけの人気モデルになると価格の設定も重要なポイントで、A5スポーツバックに限られたことだが、クワトロに加えてFFモデルを設定したのはニーズに対応してということだろう。このFFモデルにはBサイクル燃焼を採用した高効率な2.0 TFSIエンジンが搭載されることもニュースだ(ただし、こちらの導入は少し遅れる模様)。
主力はスポーツバック、クーぺ、カブリオレとも252ps仕様の2.0TFSIエンジンを搭載するクワトロモデルとなるだろうが、3L V6ターボを搭載するハイパフォーマンスモデル「S5」が同時に設定されたことも見逃せない。S4/S4アバントが高い評価を受けているだけに、この「S5」への期待が高まる。
実用優先ではなく少しばかり特別で贅沢なモデルであるA5ファミリーは、まさにアウディの個性を象徴するようなモデル。アウディのイメージリーダーであるとともに、販売面においてもラインナンプの中で非常に重要なポジションを占めているということだ。車両価格はA5/S5スポーツバックが5,460,000円から9,130,000円、A5/S5クーぺは6,860,000円から9,130,000円、A5/S5カブリオレが7,570,000円から9,980,000円となっている。(写真:アウディ ジャパン)
主要諸元 <A5スポーツバック 2.0 TFSI クワトロ スポーツ> 全長×全幅×全高=4750×1845×1390mm ホイールベース=2825mm エンジン=直4DOHCターボ 1984cc 最高出力=185kW(252ps)/5000-6000rpm 最大トルク=370Nm(37.7kgm)/1600-4500rpmトランスミッション=7速DCT 駆動方式=4WD タイヤサイズ=245/40R18 車両価格=6,860,000円