文:島下泰久/写真:Daimler AG
新開発の直列6気筒エンジンはディーゼルとガソリンを用意する
注目の直列6気筒ガソリンターボエンジンは少し遅れてから導入される。こちらは48V電装系とともにISGと呼ばれる電気モーターユニットを組み合わせ、エネルギー回生と加速時は電動スーパーチャージャーも作動させて、環境性能と高いパフォーマンスを両立する。また、13.3kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、最長50kmのEV走行を可能としたプラグインハイブリッドも用意される。
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先進安全装備、運転支援システムのアップデートも新型Sクラスの目玉と言える。注目は、ステレオカメラとレーダーから得た情報に加えて、地図とナビゲーションのデータを車両制御に活用すること。ディストロニック プロキシミティ アシストは、これらを活用して走行中の速度を自動的に調整する。制御を熟成させたアクティブ ステア アシストと相まって、ダイムラーAG グループリサーチ&メルセデスベンツカーズ開発担当役員のオラ・ケレニウス氏が“ソフィスティケーテッド レベル2”と呼ぶ、非常に高度な運転支援を実現した。
シャシもリファインされている。前方の路面状況を検知してサスペンションを調整するマジックボディコントロールは、より素早く緻密な制御が可能になった。先にクーペに搭載された、旋回中にロールと反対方向に車体をチルトさせるアクティブカーブ機能も追加された。
「Sクラスのユーザーは、つねにイノベーションを求めています」と語るのは前出のケレニウス氏。確かに中国をはじめ新興市場のユーザー年齢層は、より若いはずだ。もちろん、日本のユーザーもこの進化には興味津々だろう。気になる日本市場導入は、今秋あたりになりそうだ。
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オート上海の前夜にフェイスリフトを受けたメルセデス・ベンツSクラスが発表された。このモデルには、新たに直列6気筒エンジンが搭載される。
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メルセデスAMG S63 4マティックプラスには、4L V型8気筒ツインターボエンジンが搭載される。
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世界初の「エナジャイジング コンフォート コントロール」は、空調や芳香剤、シートヒーター、マッサージなどを統合制御する。
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新型Sクラスと同時に初披露された4ドアセダン「コンセプトA」。ライバルはBMW 1シリーズやアウディA3セダンなどと言われている。
今回メルセデス・ベンツはもう1台、注目すべきモデルをお披露目した。コンパクトクラスの次期モデルのデザインを示唆するというコンセプトAセダンだ。印象的なフロントマスク、線や面がシンプルになったことで整ったプロポーションなど、そのスタイリングには新鮮味が感じられる。
このクルマがCLAとは別の、あくまでAクラスセダンであることも重要なポイントと言える。BMW 1シリーズ、アウディA3セダンとともに、このセグメントでも新たな覇権争いが始まることになりそうだ。