気持ちよく走ることができる418号線
恵那市内にも大井宿の本陣跡など見所はいくつかあるのだが、今回は先を急ぐ事にして国道19号を少し西へ下り、竹折で国道418号に入って南下を開始。目指すは明知鉄道の終点駅、明智である。
今回のツーリングでは「なんとかスカイライン」とか「どこそこパークウェイ」みたいなメジャーな観光道路は一つも通っていないけれど、この国道418はそういった道路に匹敵するくらいの良質なワインディングだった。適度な起伏を伴った中〜高速のコーナーが連続するのだが、集落があまり無いため交通量が少なく、しかも舗装状態も良いのでとても気持ちよく走ることができた。
明智町は、大正時代の古い町並みが残っている事から、町おこしとして全体を「日本大正村」というテーマパークにしている。資料館など入場料が必要な施設もあるものの、古い町並みを歩くだけでも楽しいし、村役場や古い家屋など無料で内部まで公開している建物も多い。僕もクルマを駐車場に止めて小一時間ほど散策して回った。
スリリングなコーナーが続く「瑞浪上矢作線」
明智で早めの昼食を終えて、県道33「瑞浪上矢作線」を東に進む。ところがこの道が凄かった。舗装はされているものの、部分的に道幅が極端に狭く、カーブも非常に急なのだ。そんな道なので対向車にこそ会わなかったものの、時折「どこそこの区間、工事のため通行止め」という表示が出現し、書かれている地名がどこなのか分からないので、国道257に抜ける最後までヒヤヒヤしっぱなしだった。
昨日も走った国道257を再び1.5kmほど北上し、上村川の下村ダムから国道418に入る。上矢作町で国道から離れて、大船山の山頂付近を目指して駆け上がって行く。この先にある大船神社には、樹齢2500年、日本の巨木第7位という「弁慶杉」があると聞いていたので、それを見たかったのだ。
ところがこの大船神社に至る道も凄かった。舗装されているものの、鬱蒼とした杉林の中を抜けているため雪で落ちたと思しき杉の小枝が路面に厚く堆積している。クルマを傷つけるような硬さではないものの滑りそうだし、昼なお暗いこの道はかなり緊張感が高まる。しかも片道6km以上も続くのだ。何とか走り切ったが、大船神社は普段は無人らしくひっそりとしているし、駐車場の整備もない。林道脇にクルマを止めて、そこからさらに小高い山を登って弁慶杉を探した。
弁慶杉の伝説
良弁の弟子の弁慶が植えたという説の他に、文治(1185〜1189年)の頃、源義経主従が奥州下向の折、大船寺の本尊に祈願した時、弁慶が杉の小枝を折って「この願いむなしからずんば、この枝生い栄えよ」と地にさした。この枝が繁茂って今の弁慶杉となり、義経主従は本尊の加護により無事奥州の平泉へ下ることができたと伝えられている。(恵那市教育委員会)
国道418に戻って再び東に向けて走り出す。どこかで大規模な工事でもやっているのかダンプカーの姿が多いが、それらは国道を行かずに県道101に迂回している。その理由が国道418を進んで行って分かった。国道と言いながら、この道もまた狭くて急カーブの多い難所なのだ。岐阜県のこの地域の山間部は、道路整備がかなり遅れている様子だ。
その証拠に、五軒小屋という地名を過ぎて恵那市から長野県平谷村に入った途端、道幅は広くなり路面も確実に良くなった。このように行政区が変わると道路も変わるのは地方に行くとよくある事なのだ。平谷の交差点で国道153に左折。この三洲街道も今は極めて快適なルートで、難所の治部坂峠には立派なスノーシェルターが設置されている。一気に飯田市まで下り、飯田山本ICから中央自動車道にて帰路に着く。2日間で走行距離は約850kmに達していた。