文:こもだきよし/写真:BMW ジャパン
新型5シリーズツーリングは軽量化と静粛性の向上、両方を実現した
BMW5シリーズツーリングがフルモデルチェンジし、第5世代へと進化した。1991年E34の5シリーズから始まったツーリングは、E39、E61、F11と続き累計販売台数100万台を突破した。そして今回、G31として登場した。
その新型でミュンヘン郊外のBMWプレスセンターをベースに南ドイツを試乗してきたので、その印象をお伝えしつつ車両の解説をしよう。
新型5シリーズツーリングは、先代と見分けがつかないほどよく似ている。同じ色の“新型”に買い換えたら、隣人は気がつかないかもしれない。新しくなったことが確認できるのはサイズだろう。
F11に対して全長+36mm(4943mm)、全幅+8mm(1868mm)、全高+10mm(1498mm)、ホイールベース+7mm(2975mm)と全体的に大きくなっている。ホイールベースが伸びたことにより、後席レッグスペースが18mm拡大している。よく見ればキドニーグリルは7シリーズから始まったシャッター付きになり、Dピラーの傾斜は強くなったように見える。テールランプは車幅が広く見える横長デザインになっているが、全体としてフルモデルチェンジのインパクトは薄い。
それでも乗ると、その違いは大きい。その筆頭は快適性だ。7シリーズに勝るとも劣らない静粛性と乗り心地のレベルの高さには驚く。G30のセダンも当然高いレベルにあるが、後席背面にバルクヘッドがないツーリングモデルなのにこの快適性かと驚く。
試乗したのは520dツーリングと530d xDriveツーリングの2種類のディーゼルだが、どちらもエンジンからのガチャガチャとしたノイズが聞こえない。エンジニアに聞いたところ、エンジンルームをカプセル化して音が漏れないようにし、エンジンマウントを新しくして静音効果を出したという。エンジンルームとキャビンの間のバルクヘッドの防音効果を高めたことが効いているそうだ。車重は先代よりアルミ合金を多用して100kg軽量化しながらも、静粛性を高めるという二律背反をうまく両立させている。
次回へ続く