アウディA8の登場はニューモデル攻勢の序章だった
クルマが人の気持ちを理解して〝忖度(そんたく)〞する。そんな時代が来るのだろうか。もしかしたら来るかもしれない、いやすぐそこまで来ている。ほんの1日でめまぐるしくこんな印象をすべて経験した。スペイン バルセロナで開催された「アウディ サミット2017」でのことである。
ちなみに忖度とは「他人の気持ちを推し量ること(広辞苑)」で今の日本ではあまりいい意味で使わないが、本来は日本人が昔から持っている美徳と言っていい。
これが実現すると感じたのは新型A8に採用された〝アウディAI〞が近い将来、ビークルインテリジェンス(クルマ自体が考える力)を持つからである。現在はまだ〝忖度〞のレベルまで実現していないが。
ゆくゆくはドライバーレスが実現する
今後、このテクノロジーが人工知能を搭載しマシンラーニング(機械学習)テクノロジーが取り入れられ発展、そして進化していけばクルマは人間のドライバーと同等、もしくはそれ以上の的確さで交通状況に対応し、さらには乗員に寄り添うことができるようになる。そしてゆくゆくは、完全な自動運転、自律(ドライバーレス)まで実現することだろう。
ところでこの「アウディサミット2017」というイベントは、アウディが新しい製品と技術、そしてブランドの最新ニュースを発信する機会にしたいと考え開催したものだ。当日は世界中から2000人以上がバルセロナの会場に集った。
アウディのDNAに組み込まれている“耳を傾ける”ということ
「アウディとはラテン語で『聴く』という意味です。アウディは、人々の声に耳を澄まし、お客様の意見に耳を傾けます。批判の意見を述べるときも耳を傾けています。すべての人々が期待する以上のものを提供するために、まだ口に出して語られていない言葉にも耳を傾け聞き取ろうとしています」とアウディAGの取締役会会長ルパート・シュタートラー氏は、このイベントのスピーチで述べた。
ここにアウディの姿勢がよく表れている。DNAにはVorsprung(先進)が組み込まれており、それを常に追い求めているからこそ、その中心にいる〝お客様〞の声に耳を傾けているということなのである。(その2に続く)