効果的なマイチェンでスポーティ感を増幅
ご存じのとおり、グレイスはフィットのセダン版。それでもフロントマスクなどのディテールは変更されて差別化されており、フィットよりは年配のユーザー層を狙っているようだ。
そんなグレイスが、フィットとほぼ同時期に同様のマイナーチェンジを受けた。主な変更点は、前後のバンパーデザインの変更、シート表皮の一新、パワートレーンのリファイン、快適&安全装備の充実などだ。
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リアバンパー下部をメッシュ風に。小ぶりだがトランクエンドにリアスポイラーも備える。
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バンパー形状は従来型より立体感のあるデザインでスポーティな印象を強くしている。
新色のブリリアントブルー・メタリックをまとった試乗車のグレイスは、スポイラー風のフロントバンパーとLEDライトを採用して、顔つきはけっこうスポーティになった。インテリアも、ルームランプにLEDを採用し、プライムスムース(合皮)とファブリックのシート地も上質でいい雰囲気だ。
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インパネのデザインはフィットとほぼ同じ。ステアリングにはオーディオやホンダセンシングなどのスイッチが備わる。
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試乗車は最上級グレードのEXだったので、シートのメイン部にファブリック、サイドにプライムスムースを採用していた。
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このクラスとしては、リアシートの広さは十分。シートバックは6:4の分割可倒式だ。
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床下にバッテリーを備えながら、トランク容量はVDAで430Lと広い。リアシートバックを倒せば長尺物も積載可能だ。
まずは、走り出してみよう。先月、マイチェンしたフィットにチョイ乗りしたときにも感じたのだが、グレイスも同様にリファインされているのがよくわかった。静粛性が高められ、乗り心地も良くなっている。今回は市街地と高速走行が中心でワインディングを走る機会はなかったけれど、ハンドリングも悪くなさそうだ。
ハイブリッドのシステムも改善されたようで、上手にスロットルワークを行えば、市街地でも高速でもかなりモーター走行できるようになった。またエンジン走行中に意図的にスロットルを開けてモーターにも駆動させると、まるで電動アシスト自転車のように加速してくれる。その一方で、回生ブレーキの違和感はあまり感じられなくなったのがいい。
ホンダセンシングの採用もうれしい。衝突軽減ブレーキや誤発進抑制機能、車線維持システムにアダプティブ・クルーズコントロールなどを備え、もちろん過信は禁物だが市街地でも高速でも安心で快適だ。
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従来型に比べて乗り心地や静粛性が向上した。ホンダセンシングの採用で、市街地でも高速でも安心で快適。
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パワーユニットのスペックに変わりはないが、制御はかなりリファインされたようだ。
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タイヤはダンロップのSPスポーツ2030。試乗車のEXではアルミホイールも標準装備だ。
取材撮影も含めて、8日間で約750km(市街地と高速がほぼ半々)を走行し、平均燃費は23.0km/L。夏休み渋滞にハマったり、雨天走行も多かったし、エアコンは常時ONだから、この数値はかなり良いと言えるだろう。
フィットもいいけれど、リアシートに人を乗せる機会が多いし、やっぱり独立したトランクが欲しい!というセダン好きは、世の中に少なくないはず。でも、5ナンバーサイズに収まって、コンパクトなハイブリッドのセダンに適当なモデルがない…とお嘆きの人には、グレイスは格好のアイテムになるに違いない。 (文:篠原政明/写真:玉井 充)
グレイス ハイブリッドEX ホンダセンシング 主要諸元
全長×全幅×全高:4450×1695×1475mm
ホイールベース:2600mm
重量:1190kg
パワーユニット:直4DOHC+モーター・1496cc
最高出力:81kW<110ps>/6000rpm+22kW<29.5ps>/1313-2000rpm
最大トルク:134Nm<13.7kgm>/5000rpm+160Nm<16.3kgm>/0-1313rpm
ミッション:7速DCT
タイヤ:185/55R16
価格:235万3320円