MINIブランド初となるプラグインハイブリッドモデルが日本上陸。EV走行は最長約42.4km、200V電源にて約3時間で満充電可能だという。東京から軽井沢までの往復400km走行して気づいたその資質を、モータージャーナリスト、瀬在仁志氏がレポートする。
車重はあるが軽やかで滑らかな走り
現行MINIシリーズの中でも、ひと回り大きなボディが特徴的なクロスオーバーに、7月からプラグインハイブリッド(PHEV)の「クーパーS E」が加わった。
MINIの中でも、この「クロスオーバー」の人気は高いが、実際に使ってみると、乗り降りのしやすさや、ゆったりとしたドライビングポジションなど、その理由が良くわかる。見た目はMINIでも、中身はMINI3ドアと比べるとひとクラス上のCセグメントで、スペック的にもMINI5ドアに比較して全長×全幅で315×95㎜も大きい。
それだけに、大人3人と撮影機材を満載してのドライブでも、思ったよりもゆとりがあった。
とくにパワーユニットに関しては、高速巡航からの追い越し加速でも相当に力強く、流れをリードできる。ただし車重は1770㎏と、PHEVであることを考慮しても少々重め。にもかかわらずゆとりの走りができたのは、システムパワーに思いのほか力があったから。
システム的には、フロントを136psを発生する1.5L直列3気筒ターボが受け持ち、リアには88psのパワーを持つモーターが独立して働き、それぞれの動力を組み合わて4輪を駆動する。
通常走行の「オートeドライブ」では、エンジンとモーターが効率良く機能しているというが、高速ドライブではエンジンの音はほとんど気にならず、加速時にも静かで滑らか。いつエンジンがかかり、モーターが機能しているのかがよくわからない。このあたりは日本のPHEVモデルより静粛性が高く上質だ。駆動力も安定している。
「MAX eドライブでは125㎞/hまでEV状態(バッテリーの電気のみ)で走ることができ、この際はリアだけを駆動。「SAVEモード」は、逆に充電主体でエンジンのみで走行するが、この時だけはエンジンノイズが耳に届いてくる。オートeドライブではいかにモーターの働きが大きく、エンジン出力を抑えられているかがよくわかる。
充電時間は200Vで約3時間。この時間さえあれば、EVで40㎞強走行でき、パワー的にもゆとりのある走りを手にできるのだから、充電環境さえ満たされれば、この選択も悪くない。走りも楽しいPHEVだ。
MINIクーパーS EクロスオーバーALL4 主要諸元
●サイズ=4315×1820×1595mm ●車両重量=1770kg ●エンジン=直3DOHCターボ+モーター 1498cc ●エンジン最高出力=136ps/4400rpm ●エンジン最大トルク=220Nm/1400-4300rpm ●システム最高出力=224ps ●システム最大トルク=385Nm ●JC08モード燃費=17.3km/L●479万円