運転支援技術の高度化に向けて運用を開始
北海道・旭川市から北へクルマで走ること約2時間。旭川と稚内のほぼ中間にある美深という町にスバルのテストコースはある。
スバルは1977年から美深町で試験を開始している。当初は一般道での寒冷地テストだったが、地元の協力を得て冬季に閉鎖された道道や町道での試験を開始。
そして95年には、寒冷地における性能評価や雪上試験などを目的とした開発拠点として美深試験場が開設された。
2003年には高速周回路が増設され、17年秋に高度運転支援技術コースが完成した。
今回、施設の完成を記念してコースを見学・試走することができた。
試走できたのは、高速周回路のみ。1周は約4.2km。既存の高速周回路を実際の道路に近づけるように改修された。具体的には、都市間高速道路本線にある「緩やかなカーブ」や、インターチェンジやサービスエリアを想定した「分合流路」、そして4車線の道路を想定した「多車線路」の新設など。
また直線路には北米のフリーウエイを模したコンクリート舗装路(ここは試走不可)も新設された。
2周×2回の試走だったが、白樺林を横目に見ながら走るコースはきわめて快適。風景も、ちょっと日本離れしていてエキゾチックな雰囲気だ。
テストコースなので多少のアップダウンはあるが、完成したばかりのコースは路面も傷んでおらず、まさにフラットライドな走りが楽しめた。
緩やかなカーブや多車線路を走行していると、テストコースというよりは交通量の少ない高速道路を走っているかのように感じてしまう。
アイサイトなどの運転支援技術や自動運転技術の開発には最適なコースになるだろう。
市街地路や総合試験路などは、バスの中からの見学だった。
市街地路は、建物があれば街並みのような佇まいで、交差点が3つ(そのうちひとつはラウンドアバウト=円形交差点)ある。将来的には建物を建てて、よりリアルなテストができるようにするとのことだった。
総合試験路は約1.2kmの直線路に交差点が追加され、プリクラッシュブレーキのテストが可能になっている。また冬季には、積雪路や融雪路の走行実験が行われる。
このコースを活用して、スバルは高度化していく運転支援技術に必要な技術開発をさらに加速させる。2020年には自動車線変更機能や、交差点での自動車、自転車、歩行者との衝突事故を防止する技術の実現を目指すという。
北海道の大自然の中にあるコースを見ていると、スバルの運転支援技術の進化に期待が高まっていく。
(文:篠原政明/写真:SUBARU、MazKen)