満充電で301km走行。CHAdeMOにも対応
2017年5月にマイナーチェンジされたVW ゴルフに、フルEVの「e-ゴルフ」が加わった。マイチェン前の2015年にも「e-up!」とともに日本導入が検討されたが、日本の充電インフラとの相性の問題で見送られ、今回、万全を期して導入されたというわけだ。
外寸はガソリン仕様のゴルフとまったく同じ。だが、ブルーの刺し色やフロントバンパーに内蔵されたC型のLEDポジショニングランプ、空気抵抗の少なそうなアルミホイールなどが普通のゴルフではないことをさりげなく主張している。
ブルーのステッチがお洒落なインテリアも、パッと見はガソリン仕様と変わらない。ただし、オプションのデジタルメータークラスター(標準装備は普通のメーター)を見ると、タコメーターの位置にパワーインジケーターが配されている。
ブレーキを踏み、イグニッションをONにするとシステムが立ち上がったサウンドは鳴るが、エンジンルーム(いや、モータールームか?)からは何の音もしない。セレクターをDに入れ、アクセルペダルを軽く踏むとe-ゴルフは音もなくスッと走り出した。
そのままアクセルをじわっと踏んでいればスムーズに加速するし、ちょっと右足に力を入れればEVらしい極低速域からトルクが立ち上がった鋭い加速も味わえる。
電気モーターのパワースペックは136psと290Nm。e-ゴルフはガソリン仕様のゴルフ ハイラインより270kg重い1590kgあるが、発進時も走行中も重さを感じることはない。ブレーキング時には多少は重さを感じなくもないが、ブレーキ性能に不満はない。
通常のDレンジ走行ではスロットルオフ時はコースティング状態となるが、シフトレバーを左右に操作すれば回生ブレーキの強さを3段階に変えられる。さらにBレンジに入れればその強さは最大となる。その違いは認識できるが、そこまで細かくしなくても…とも思えたが。またBレンジでは、加速から減速〜停止までをアクセルペダルの操作だけで行う、いわゆるワンペダル走行も可能だ。
感動的なのはコーナリング。床下にバッテリーを敷き詰めた低重心設計のおかげで、街中のちょっとしたコーナーでも思った以上の速度でクリアしてしまう。またゴルフらしいボディのしっかり感や、操作系などの扱いやすさはガソリン仕様と変わらず。EVだから…と身構えずに普通に乗れるのもうれしい。
日本の充電インフラに対応して、200Vの普通充電なら約12時間(15A)で満充電、CHAdeMOの急速充電なら約35分で80%充電できる。1満充電での航続距離は301km(JC08モード)。
今回は短時間の市街地走行での試乗だったので、残念ながら高速性能や自慢の運転支援装備を試す機会はなかった。あらためてジックリと試乗してみたい、そんな気にさせてくれるクルマだった。
このe-ゴルフの販売は、インターネットの専用サイトでの申し込み(2017年12月25日まで)となる。
価格は、税込み499万円。購入時の平成29年度 クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金は30万1000円。
e-ゴルフが気になる人は、主要諸元下のサイトへどうぞ。
(文:篠原政明/写真:玉井 充)
e-ゴルフ 主要諸元
全長×全幅×全高:4265×1800×1480mm
ホイールベース:2635mm
重量:1590kg
パワーユニット・総電力量:モーター・35.8kWh
最高出力:100kW<136ps>3300-11750rpm
最大トルク:290Nm<29.5kgm>/0-3300rpm
タイヤ:205/55R16
価格:499万円(税込)