9月6日に発表/10月2日発売された、2代目となる新型リーフ。はじめてのフルモデルチェンジでパワートレーンも一新、航続距離も400kmと生まれ変わっている。そんな新型リーフをモータージャーナリストのこもだきよし氏が試乗する。
画像: 新型リーフ。3グレードがあり最廉価グレードのSが315万0360円、Xが351万3240円、最上級グレードのGは399万0600円。試乗車は「G」グレード。

新型リーフ。3グレードがあり最廉価グレードのSが315万0360円、Xが351万3240円、最上級グレードのGは399万0600円。試乗車は「G」グレード。

バッテリー容量が増え出力も大幅アップ

100%電気で動く日産リーフが、今回フルモデルチェンジを果たした。三菱iMiEVとともに日本のEV市場を切り開いた「記憶に残る」クルマが、大きく進化した。

初代リーフのバッテリー容量(総電力量)は24kWhだったが、マイナーチェンジで30kWhに増加し、今回のフルモデルチェンジで40kWhにまで増えた。リチウムイオンバッテリーの大きさはほぼ変わらないので、バッテリーセルの密度を増やして貯める電気容量を増やしたわけだ。

画像: 新型のeパワートレーンは最高出力110kW、最大トルク320Nmを発生。初代以上に「速っ!」と感じる加速性能だ。

新型のeパワートレーンは最高出力110kW、最大トルク320Nmを発生。初代以上に「速っ!」と感じる加速性能だ。

モーターも基本構造は変えていないが、最高出力はこれまでの80kWから110kW(150ps)へと大幅アップしている。モーターは、バッテリーの出力が大きくなるとパワーも上げることができるらしいので、バッテリー容量のアップが今回のカギになっていると思われる。

首都高速の料金所から本線に合流するためにフル加速していくと、3L級の自然吸気エンジンを超える最大トルク320Nmによって、ホイールスピンしそうになりながら加速していく。モーターの回転数で0〜3283rpmまで最大トルクを発揮できるので、ゼロ発進や料金所からの加速は得意分野だ。

画像: 低重心で快適な乗り味。アクセルペダルだけで運転できる「e-Pedal」は、とくに街乗りでは使いやすい。

低重心で快適な乗り味。アクセルペダルだけで運転できる「e-Pedal」は、とくに街乗りでは使いやすい。

雨模様になって路面がウエットになると、アクセル全開で発進すると実際にホイールスピンが始まる。しかしEVのメリットで、駆動モーターの制御は素早くできるので、エンジン車のストールするようなこともなく一番効率の良いほんの少しのホイールスピンを続けながら加速することができるのは良い。これは先代モデルでも試したことがあるが、もっと滑りやすい道でも大きな武器になる。雪道やアイスバーンでもスムーズに加速できるのはありがたい。

BMW i3のようにEVでも後輪駆動の場合は、加速が始まると荷重が後輪に移るのでタイヤが押さえつけられてホイールスピンしにくいが、リーフのような前輪駆動でもホイールスピンによって姿勢が乱れたり、加速が途切れたりしないところもEVならではだ。

2つのドライブモード ワンペダル運転も可能

画像: 日産車共通のデザインテーマ「グライディング・ウイング」を採用する質感の高いインパネ。同一車線自動運転のプロパイロットや駐車アシストなども設定。

日産車共通のデザインテーマ「グライディング・ウイング」を採用する質感の高いインパネ。同一車線自動運転のプロパイロットや駐車アシストなども設定。

画像: シフトセレクター。その上側にある「e-Pedal」スイッチを引くとワンペダルドライブが楽しめる。

シフトセレクター。その上側にある「e-Pedal」スイッチを引くとワンペダルドライブが楽しめる。

通常のドライブモードで走っていると、アクセルペダルを放したら少しの回生ブレーキが効いてエンジンブレーキのようにゆっくりとスピードダウンしていく。だがセレクターレバーの上にある青色の「e-Pedal」のスイッチを引いておくと、アクセルペダルを踏み込んだ状態から戻したときに強い減速が起こるので、ブレーキペダルを使わないワンペダルドライビングが可能になる。このスイッチをもう一度引けば元に戻るから、これを使うかどうかはドライバーが選択できる。

渋滞で混んでいるときの加速と減速の繰り返しでは便利だ。これで止まったときにはクリープ状態にならないから、ブレーキペダルはまったく使わずに走ることが可能だ。その点では先輩格のBMW i3も同じだが、こちらは選ぶ余地はなくワンペダルドライビングしかできない。ちなみにワンペダルドライビングでも、ある一定の減速G以上になるとブレーキランプが自動的に点灯してくれるから安心できる。

バッテリー容量が増えてレンジ(航続距離)も増えてJC08モードの走行パターンなら400km走れることになっている。しかし実際には300kmを超えるのは難しく、今回の試乗のレンジも280km程度だった。

画像: 満充電でJC08モード走行なら航続距離400km。初代発売当初より航続距離が2倍になっている。

満充電でJC08モード走行なら航続距離400km。初代発売当初より航続距離が2倍になっている。

寒い日にはエアコンのヒーターを使うが、そうするとレンジは短くなるから、電力消費が少なくて済むシートヒーターやハンドルヒーターを使うと良い。外が寒いと窓も曇りやすくなるが、クリンビューを使ってガラスの内側の曇り止めをしておくのも電費を良くする方法だ。

欲しいデイタイムライト シートも少し気になる

すべてが新しいリーフだが、「おもいやりライト」というライト点灯運動をしている日産の最新モデルなのだから、1年前から国交省が許可し始めたDRL(デイタイムランニングライト)を装備してほしかった。

シートのフワ感も気になった点のひとつ。座面はまだ良いのだが、バックレストに厚みがあり、そのストロークある動きによりコーナーでハンドルを切り始めるときに運転しにくかった。ドライバーの身体が安定しないからだ。ごく普通のシートでもフワつかなければ良いのだが、NISMOバージョンのバケットシートを待つしかないのか。

コネクテッドと呼ばれる最新技術は十分盛り込まれている。緊急時の通報システムもそうだが、オーナーになればもちろん自分のスマホとクルマのやりとりもできる。充電中ならどれくらいまで充電したかが遠く離れたスマホでもわかるとか、エアコンを使って室内を暖めたりすることもできる。

驚くような大変化はないが、順調に進化している。

画像: 筆者のこもだきよし氏と新型リーフ。

筆者のこもだきよし氏と新型リーフ。

■文:こもだきよし/■写真:玉井 充

日産 リーフG 主要諸元

○サイズ=4480×1790×1540 ○ホイールベース=2700mm ○トレッド前/後=1530/1545mm ○最低地上高=150mm ○車両重量=1520kg ○バッテリー種類/総電圧/総電力量=リチウムイオン電池/350V/40kWh ○バッテリー最高出力=110kW(150ps)/3283-9795rpm ○バッテリー最大トルク=320Nm(32.6kgm)/0-3283rpm ○1充電走行距離=400km(JC08モード) ○駆動レイアウト=FF ○サスペンション前/後=ストラット/トーションビーム ○タイヤサイズ=215/50R17 ○車両価格=399万0600円

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